研究課題/領域番号 |
23H02376
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 道仁 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 講師 (70609403)
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研究分担者 |
板倉 友香里 北海道大学, ワクチン研究開発拠点, 特任助教 (00980856)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 狂犬病ウイルス / 感染動物モデル / 病態解明 / 潜伏感染 / トランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
(1)末梢組織における狂犬病ウイルスの潜伏感染や中枢神経に至る神経侵襲は、狂犬病ウイルスの病原性発現までの重要な過程である。本研究ではホールイメージング解析により、末梢組織におけるウイルス感染動態を明らかにすることを計画している。狂犬病ウイルス野外株であるToyohashi株のリバースジェネティクスの系を構築し、赤色蛍光タンパク質を発現する組換え狂犬病ウイルスを作出した。作出した組換えウイルスをマウスの末梢組織に接種し、生存率解析や病理組織学的解析を行うことにより、組換えウイルスが野外株と同様の病原性を有することを確認した。また、透明化処理した感染動物の後肢組織をライトシート顕微鏡を用いたホールイメージング解析し、ウイルス感染細胞に由来する蛍光シグナルを検出した。 (2)狂犬病ウイルス弱毒株と強毒株の感染時に生じる宿主免疫応答機構の違いを明らかにすることを計画している。狂犬病ウイルス弱毒株または強毒株をマウスに接種し、感染動物の脳組織におけるウイルス感染細胞の分布を免疫染色により観察した。また、狂犬病ウイルス感染マウス脳組織において惹起される宿主応答をシングルセル遺伝子発現解析により比較解析している。得られたデータではグリア細胞の偏りが見られたため、追加解析を予定している。シングルセル遺伝子発現解析について十分なデータが得られ次第、対象とする遺伝子の先発を行い、それら遺伝子に関して空間トランスクリプトームXenium解析を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究計画を予定通り実施し、進捗が得られた。また、次年度にここまでの成果の一部を学術論文として取りまとめ投稿する目処がついている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、ホールイメージング解析の条件検討を実施する。蛍光タンパク質を発現する組換え狂犬病ウイルスを感染させたマウスの脳および後肢組織を用いて、固定時間や透明化などのサンプル処理プロセスを最適化する。最適化したプロトコールでホールイメージング解析を実施し、末梢組織と中枢組織における狂犬病ウイルス感染細胞の分布を詳細に解析する。 また、狂犬病ウイルスのリバースジェネティクスに関して、ここまでに得られた知見をまとめ論文投稿を行う。 狂犬病ウイルス弱毒株または強毒株をマウスに接種し、感染動物脳組織のグリア細胞を対象としたシングル製遺伝子発現解析を実施する。シングル製遺伝子発現解析から得られたデータをもとに、対象遺伝子を絞り込んだうえで、空間遺伝子発現解析装置Xeniumを用いた解析を実施し、狂犬病ウイルス弱毒株と強毒株間で異なる遺伝子発現応答の詳細を観察する。
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