研究課題
MYCはがんのマスターレギュレーターであり、がんの治療標的として古くから注目されている。しかし、MYCを直接的に創薬標的とするのは困難(undruggable)であると認識されており、間接的なMYC阻害が試みられているが、臨床応用に至っていない。本研究の目的は、undruggableなMYCを創薬標的にすることは可能か?という問いに対する答えを得るための基盤的研究、すなわち我々が見出したタンパク質脱リン酸化酵素PP2Aが制御するMYCの新規分解機構の解明と創薬候補化合物の同定を行うことである。本年度は、PP2Aを活性化して間接的にMYC分解を引き起こす化合物を同定し、物質特許の出願に至った。本化合物はPP2A阻害タンパク質SETを標的として、SETをPP2Aから解離させることでPP2Aの活性化を引き起こす。白血病細胞株を用いた解析から、本化合物がPP2A活性化依存的にMYC分解を誘導することを確認した。またこれに関連して、PP2Aとその阻害タンパク質PME-1の結合・解離を制御する分子機構を解明し、論文を発表した。本論文では、NanoBiTシステムを用いたスクリーニングから、CHK1阻害剤がPP2AとPME-1の結合を阻害することを明らかにした。詳細な解析から、CHK1はPP2Aをリン酸化することでPME-1との結合を誘導し、自身をPP2Aによる脱リン酸化から保護していること、これがDNA傷害時の迅速な応答に寄与していることが明らかになった。本研究成果は米国生化学・分子生物学会によって発行されている「Journal of Biological Chemistry」において、2024年5月に発表された。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、PP2Aを活性化することで間接的にMYC分解を引き起こす化合物を同定し、物質特許の出願に至ることができた。また、MYCの新規分解機構についても、論文投稿段階に来ており研究は順調に進行している。
最終年度であるため、投稿段階にあるMYCの新規分解機構に関する論文の採択を目指す。また、物質特許を出願したMYC分解誘導化合物について各種がん細胞において効果を解析し、化合物の感受性を規定する分子機構を明らかにしていく。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 300 ページ: 107277~107277
10.1016/j.jbc.2024.107277
巻: 300 ページ: 105584~105584
10.1016/j.jbc.2023.105584