研究課題/領域番号 |
23H02465
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 公益財団法人かずさDNA研究所 |
研究代表者 |
川島 祐介 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, ユニット長 (30588124)
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研究分担者 |
紺野 亮 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 特任研究員 (00935736)
石川 将己 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 特任研究員 (10758684)
中島 大輔 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 研究員 (30370935)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | プロテオミクス |
研究実績の概要 |
プロテオーム解析は前処理技術や分離技術の向上、さらに質量分析計(MS)の進化によって哺乳類細胞から10,000を超えるタンパク質が解析可能となっている。しかし、ここまで分析深度が拡大しても細胞中のタンパク質の全貌を明らかにすることはできていない。本研究では簡便に細胞発現タンパク質の全貌を明らかにするシングルショットプロテオーム解析システムを開発し、真に網羅的なプロテオーム解析(真プロテオーム解析)を実現することを目的としている。2023年度ではイオンモビリティ質量分析計であるブルカー社のtimsTOF HTを用いて分析深度を拡大できるThin-diaPASEF法を確立した。Thin-diaPASEF法はm/z軸と1/k0軸の2次元イオンマップ上におけるイオン密度の高い領域だけをフォーカスしてm/z軸に対して細かく連続的にMS/MSを取得していく方法であり、従来のpy_diAID で作製されたdiaPASEFより多くのタンパク質、ペプチドを同定することができる。さらに60cmのロングカラムを用いることでタンパク同定数を増やすことができ、HEK293細胞とHeLa細胞を分析するとそれぞれで約11,500タンパク質を同定することができた。これらの細胞では約12000種類のmRNAが観測されているため、細胞中の全タンパク質分析まであと一息のところまできている。また、タンパク質強度ランキングが10,000以降の超低発現タンパク質には様々な生命現象のマスターレギュレーターを担うことが知られている転写因子が豊富に含まれていることが分かり、超微量タンパク質を解析する意義が大きいことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞中の発現タンパク質の全貌を明らかにするシングルショットプロテオーム解析システムの開発を目的としており、2023年度までにLC-MSのセッティングの最適化やMSのデータ取得法の改良によってHEK293細胞とHeLa細胞からそれぞれで約11,500タンパク質の検出に成功している。HEK293細胞とHeLa細胞では約12,000タンパク質が含まれていると考えられているため、全貌とまではいかなかったが細胞中の大部分のタンパク質の検出ができていることとなっており、本研究は概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに確立したプロテオーム解析システムをさらにブラッシュアップしてHEK293細胞とHeLa細胞からシングルショット分析で12,000タンパク質以上を検出できるようにする。さらにマイナーな組織、細胞由来の初代培養細胞ペレットを集めて、順次、ブラッシュアップしたプロテオーム解析システムで分析をしていき、今まで発現が確認されてないMissingタンパク質を同定していく。
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