現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)TIM23機能における PINK1保護とタンパク質膜透過の仕分け: ミトコンドリア内膜でのタンパク質膜透過は,外膜の膜透過と異なり膜電位に依存する。私達は,その膜透過装置であるTIM23複合体をPINK1相互作用因子として同定した。この結果は膜電位を失ったミトコンドリアでの新たなTIM23機能を示唆していたため,TIM23発現抑制を行なったところPINK1蓄積量の減少が確認された。そこで,PINK1蓄積量の変化がTIM23サブユニット単独の機能か,またはTIM23複合体としての機能かを検証するために,他のTIM23複合体の主要サブユニット(TIM17A/B, TIM50など)を個々に発現抑制した細胞を用いて,タンパク質のミトコンドリア内膜透過とPINK1蓄積量の両方を測定した。その結果,ミトコンドリア内膜透過の減少は確認できたが,同じ条件でPINK1蓄積量の減少は見られなかったため,PINK1保護はTIM23固有の機能であることが示唆された。また,TIM23の部分欠損体を用いたPINK1保護機能に寄与する機能領域の同定も進めているが,ミトコンドリア内膜透過に関わるドメインと区分けにはまだ至っていない。 2)遺伝性パーキンソン病患者由来のPINK1変異体の探索: 私達は,遺伝性パーキンソン病患者由来のPINK1変異体を用いた免疫沈降実験により,TIM23との相互作用が弱く共免疫沈降しにくいPINK1変異体(A78V, R98V)を同定した。TIM23相互作用に必要なPINK1ドメインをさらに探索するために,他のPINK1変異体を用いた免疫沈降実験を進めいているが,まだ新たな変異の同定には繋がっていない。
|