研究課題/領域番号 |
23H02524
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
竹花 佑介 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60432093)
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研究分担者 |
安齋 賢 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (20779467)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 性決定遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究では、同種でありながらXY型とZW型が共存するジャワメダカと、その姉妹種でZW型のハブスメダカについて、性決定遺伝子の起源と機能を解明することを目的としている。本年度は各種における性決定遺伝子の同定を目指し、ゲノム解析とノックアウト解析を実施した。ジャワメダカのスラウェシ系統(インドネシア)はXY型であり、Y染色体で多重重複(約45コピー)したDmrt1Yであることが判明している。そこでDmrt1Yのノックアウト系統を複数作出し、それぞれのコピー数や挿入欠失変異を調べたところ、正常なコピーが半数程度残っていても性転換が生じることが明らかになった。この結果は性決定機能を有するコピーがごく半数以下であることを示唆している。また、ZW型を示すペナン系統(マレーシア)については、これまでに特定したW染色体特異的な3つの重複遺伝子を同定し、CRISPR/Cas9法によってノックアウト実験を実施した。これまでに、3つの候補遺伝子のひとつでZWオスを示す性転換系統が得られ、現在のところ本遺伝子を性決定遺伝子の最有力候補と考えている。同じくZW型のハブスメダカについても、ゲノム解析によって高精度のZ染色体配列とW染色体配列の構築に成功し、W特異的な3つの候補遺伝子を得た。しかし、いずれも候補遺伝子もノックアウト個体が性転換せず、いずれも性決定に関与しないことが示唆された。今後はトランクリプトーム解析や強制発現解析を併用して性決定遺伝子を探索し、性決定遺伝子候補の特定を目指したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って各種のゲノム解析が完了し、トランスクリプトーム解析も実施できた。これにより性染色体の構造変化や性決定遺伝子候補を特定でき、一部についてはノックアウト実験によって性決定遺伝子の実体を解明できた。以上の成果から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
詳細なトランスクリプトーム解析を行い、性決定時期に性特異的な発現パターンを示す候補遺伝子を同定すると同時に、性分化過程を種間で比較する。性決定遺伝子候補については、遺伝子ノックアウト実験と強制発現実験を行い、これらの候補遺伝子が性決定機能をもつかどうかを明らかにする。
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