研究課題/領域番号 |
23H02578
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
竹居 光太郎 横浜市立大学, 医学研究科, 特任教授 (40202163)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | LOTUS / アルツハイマー病 / 認知症 / 過剰発現 / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
LOTUSの遺伝的過剰発現によってADモデルマウスの記憶障害を改善できるかについて研究を行う。アルツハイマー病(AD)の優れた病態モデル動物としてアミロイドβ(Aβ)タンパク質の前駆物質であるβ-amyloid precursor protein(APP)の家族性変異ノックインマウス(変異APP-KIマウス:理研脳神経科学研究センターの西道博士より供給されたコロニーを施設内で維持)を用い、LOTUSのAβ拮抗作用の効果を解析する。12-18ヶ月齢の変異APP-KIマウスは記憶障害が生じていることが分かっているので(Saito et al., 2014; Nagata et al., 2018)、最初に12ヶ月齢のADモデルマウスにおけるLOTUSとAβの海馬における発現量についてウエスタンブロティング法で調査したところ、LOTUSはAPP-KIマウスの海馬において発現減少が認められたのに対し、Aβは予想に反して野生型マウスとAPP-KIマウスでは発現変化は認められなかった。。次に、LOTUS過剰発現マウスと変異APP-KIマウスの交配実験を行い、LOTUSを過剰発現するADモデルマウスを作成した。この交配マウスが12ヶ月齢になった段階で、ADモデルマウスが示す記憶障害をLOTUSの過剰発現によって改善されるかについて、認知機能に関する新規物体認知機能試験で解析したところ、APP-KIマウスが示す記憶機能低下をAPP-KI/LOTUS-Tgマウス(LOTUSを過剰発現するADモデルマウス)は完全にレスキューしていた。このことは、APP変異によるAβの異常蓄積による認知機能(記憶機能)低下をLOTUSの過剰発現によって改善することを明確に示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和6年度内での遂行を予定していた実験研究の50%以上を既に終えることができた。最終年度(令和7年度)に予定していた外来性遺伝子導入法による行動実験は本年度内に開始して解析することを予定しており、当初の予定より早い研究進捗である。しかし、外来性遺伝子導入法による解析は困難が予想されて多くの時間を要するため、研究全体としては順調な経過を辿っていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
PP-KIマウスが示す記憶機能低下をAPP-KI/LOTUS-Tgマウス(LOTUSを過剰発現するADモデルマウス)は完全にレスキューしていたことから、APP変異によるAβの異常蓄積による認知機能(記憶機能)低下をLOTUSの過剰発現によって改善することを明確に示すことができた。この実験データを基に、今後は、行動実験後に摘出した脳のゴルジ法による樹状突起の可視化によって海馬錐体細胞のシナプス密度について解析して個体レベルにおけるLOTUSのAβ拮抗作用を検証する。次に人為的に外来性LOTUSを遺伝子導入することでAPP-KIマウスが示す記憶障害をレスキューすることができるかどうかを検討する。
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