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2023 年度 実績報告書

異物排出複合体の形成機構解明と動的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23H02631
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

西野 邦彦  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30432438)

研究分担者 田口 厚志  大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20908686)
西野 美都子  大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30510440)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード異物排出 / RND / 制御 / 複合体 / 細菌
研究実績の概要

生物の最も基本的な構成単位である細胞の生存を維持するための機構として、成育に不利となる異物を排除するシステムが存在している。グラム陰性細菌は、様々な環境で生存するために、細胞質内、細胞膜内、そして外膜・内膜間(ペリプラズム)から異物を排出して、細胞内への異物蓄積を防ぐ必要がある。マルチコンポーネントタイプ異物排出システムは、内膜に存在するポンプ、膜間に存在するペリプラズムタンパク質、外膜に存在するチャネル様タンパク質が効率良く連携して、膜を貫く形で複合体を形成し、異物・薬物の排出を行い、薬剤耐性化の原因にもなっている。本研究ではこれら異物排出系がどのような条件で何によって制御を受けているのかについてその機構を明らかにするとともに、複合体形成や阻害機構を解明し、異物排除を阻害することによって恒常性を破綻させる人工的制御技術を開発する。
今年度は、腸内細菌が生育する環境に存在する胆汁が異物排出系におよぼす影響について調べた。異物排出系は、胆汁を認識して、細菌外に排出することで、細菌生育に関与しており、サルモネラにおいて、胆汁酸各構成成分による異物排出系制御にRamR・RamA因子の影響を明らかにした上で、本菌の腸管細胞侵入への効果についても解析を行った。その結果、主要な一次胆汁酸塩であるケノデオキシコール酸塩およびその共役誘導体であるコール酸塩、デオキシコール酸塩は、RamR依存的にramAの転写を活性化し、異物排出系の発現が変化するのに加えて、TTSS-1遺伝子のマスターアクチベーターが抑制され、その結果、細胞侵入性が抑制されることが示された。一方、コール酸塩は、ramRAとは独立して細胞侵入を抑制することも示された。また、緑膿菌株を用いた異物排出系発現の解析も行い、成果を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

腸内細菌が生育する環境に存在する胆汁が異物排出系におよぼす影響について調べるとともに、Caco-2腸管上皮細胞およびサルモネラを用いて、胆汁によるサルモネラの侵入抑制におけるramRA異物排出制御系遺伝子の影響が明らかになるとともに、緑膿菌株を用いた異物排出系発現の解析も行い、成果を発表することができた。国際共著論文も発表し、計画は順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

これまでに行っている、成育環境に存在する物質が細菌の異物排出系に与える影響に加えて、高解像度で生理的に意味のある異物排出体の構造を明らかにするために、X線およびクライオ電子顕微鏡を用いた異物排出システムの構造解析も進めたいと考えている。我々の強みとしては、一般に入手が困難である排出阻害剤を持っている点にあり、排出される基質の代わりに、ポンプに強く結合する阻害剤を用いることにより、安定的な構造を得ることができると考えている。排出タンパク質結晶作成、クライオ電子顕微鏡による解析と並行して、阻害剤が異物排出複合体に与える影響について解析を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] INRAE(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      INRAE
  • [雑誌論文] Changes in the expression of mexB, mexY, and oprD in clinical Pseudomonas aeruginosa isolates2024

    • 著者名/発表者名
      MATSUMOTO Yoshimi、YAMASAKI Seiji、HAYAMA Kouhei、IINO Ryota、NOJI Hiroyuki、YAMAGUCHI Akihito、NISHINO Kunihiko
    • 雑誌名

      Proceedings of the Japan Academy, Series B

      巻: 100 ページ: 57~67

    • DOI

      10.2183/pjab.100.006

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Major primary bile salts repress Salmonella enterica serovar Typhimurium invasiveness partly via the efflux regulatory locus ramRA2024

    • 著者名/発表者名
      Giraud Etienne、Baucheron Sylvie、Foubert Isabelle、Doublet Benoit、Nishino Kunihiko、Cloeckaert Axel
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 15 ページ: 1338261

    • DOI

      10.3389/fmicb.2024.1338261

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Drug resistance and physiological roles of RND multidrug efflux pumps in Salmonella enterica, Escherichia coli and Pseudomonas aeruginosa2023

    • 著者名/発表者名
      Yamasaki Seiji、Zwama Martijn、Yoneda Tomohiro、Hayashi-Nishino Mitsuko、Nishino Kunihiko
    • 雑誌名

      Microbiology

      巻: 169 ページ: 001322

    • DOI

      10.1099/mic.0.001322

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Functional and structural characterization of Streptococcus pneumoniae pyruvate kinase involved in fosfomycin resistance2023

    • 著者名/発表者名
      Taguchi Atsushi、Nakashima Ryosuke、Nishino Kunihiko
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 ページ: 104892~104892

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.104892

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Development of Universal Inhibitors of Drug Efflux Pumps to Overcome Multidrug-Resistant Pseudomonas aeruginosa Infections2023

    • 著者名/発表者名
      Kunihiko Nishino
    • 学会等名
      9th Symposium on Antimicrobial Resistance in Animals and the Environment
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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