カルバマゼピンによる重症薬疹と関連するHLA-B*15:02多型を導入したマウス(B*15:02-Tg)に対しカルバマゼピンを連日投与し、免疫学的、外見的な変化が見られるか調べた。具体的には、過去に我々が確立した、アバカビル過敏症マウスモデルにおいて免疫寛容に関わるPD-1遺伝子を欠損させ、さらにCD4細胞も除去するという条件を参考に、B*15:02-Tgにおいても、抗PD-1抗体と抗CD4抗体を前処理した上でカルバマゼピンを連日投与する条件で検討を行った。投与2週間目まで投与を行い、1週間目、2週間目でリンパ節と脾臓のCD8T細胞の活性化をB*15:02-Tgとリッターメイト(LM)間で比較したが、両マウスでカルバマゼピン投与による反応に差を認めなかった。過去の報告で、B*15:02遺伝子を導入した別系統のマウスにおいては、カルバマゼピンによる重症薬疹の発症患者で特徴的に認められたT細胞受容体を遺伝子導入したマウスCD8T細胞を移植し、ここにカルバマゼピンを投与すると皮膚粘膜の炎症が再現できたとされている。今回我々が得た結果も、カルバマゼピンによるB*15:02依存する免疫活性化を介した重症薬疹発症にはB*15:02のみでは不十分で、加えて特定のT細胞受容体が必要なことを示唆している。
|