研究課題/領域番号 |
23H02662
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
安藤 康史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (10736010)
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研究分担者 |
岩瀬 晃康 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (10965130)
千代田 大尚 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特別研究員 (20886155)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ペリサイト / 臓器特異性 / 発生 |
研究実績の概要 |
ペリサイトは、栄養する臓器に合わせてその形質を適切に変容させることで、臓器機能の調節に関与する、動的な細胞であることが分かってきた。本研究では、ペリサイトが特に重要な役割を担う中枢に着目し、ペリサイトの脳組織環境感知機構と、脳特異的形質の獲得機構を分子レベルで明らかにする。本年度はペリサイトの脳組織環境の感知機構の解明を目指し、特に中枢特異性を誘導する受容体・チャネルの同定に向けたペリサイト遺伝子改変システムの整備や解析のための基盤開発を進めた。加えて、これまで困難であったマウス脳ペリサイトを簡便かつ選択的に回収する方法を確立することに成功し、標的遺伝子のペリサイト形質の制御に対する影響を捉える基盤を確立できた。さらに、ペリサイトの組織環境感知に対する細胞外基質(硬さ・組成)の役割の解析を実施するため、脳毛細血管細胞外基質環境を模倣する基質の硬さを調節できる人工細胞外基質作成技術を用いた解析基盤を構築した。任意に細胞外基質の硬さを調節する人工細胞外基質作成技術を用いて解析を進めた結果、硬さに応じてヒト培養ペリサイトが異なる応答を示すことを見出しつつあり、次年度では詳細な感知機構とその後の遺伝子発現制御機構の解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管内皮細胞やその他の細胞腫に比して、ペリサイトを標的とした分子細胞生物学的手法は成熟しておらず、簡便かつ正確な単離法も確立されてこなかった。ペリサイト形質に与える影響を解析するために必須となる技術であり、本年度にその手法を確立できたことは今後の研究の進展に大きく貢献すると考えられる。また、これまで解析がなされていない、ペリサイトのメカノセンシングと細胞形質の連関についての解析基盤を構築した点からも概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に確立した手法を用いて、候補遺伝子の機能調節マウスから脳ペリサイトを単離し、トランスクリプトーム解析およびATACやChip-seqなどを用いたエピゲノム解析を進めることで脳特異的なペリサイト形質の制御機構の解析を進める。また、、基質の硬さを調節できる人工細胞外基質作成技術を用いて、脳毛細血管細胞外基質環境を再現し、ヒト培養ペリサイトやマウス標的臓器由来の不死化ペリサイトをを用いて、詳細な分子制御機構の解析を実施する
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