研究実績の概要 |
我々は、これまでに、GIRK2チャネルのポアヘリックスのボトムに位置するThr151残基を変異させたT151A変異体およびT151W変異体は、劇的なイオン選択性の変化を示し、Li+等、通常透過しないカチオンが透過すること、過分極に伴い膜電位依存的活性化を思わせる内向き電流の緩徐な増加を示すことを観察した。イオン透過と電位依存的活性化のカップリングを検証する目的で、これらの変異体をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、二電極膜電位固定法により、過分極の様々な膜電位での内向き電流を、Li+, Na+, Methyl Ammoniumを透過イオンとして用いて記録し、その増加速度の解析を行った。その結果、以下の知見が得られた。 T151Aについて、(1) 増加相は、時定数が数100 ms の遅い成分と、時定数が数10 ms の速い成分でフィットできた。(2) どちらの成分も、典型的な膜電位依存性チャネルと異なり、時定数の膜電位依存性はごく弱かった。(3) -120 mVでの遅い成分の時定数は、Li+では247 ms, Mathyl Ammonium では137 ms と、透過イオンの種類による活性化速度の違いが観察された。 T151Wについては、Li+, K+, Csを用いて記録を行ったが、記録ごとのばらつきが大きく、透過イオンの種類による活性化速度の違いは結論できなかった。 また、上記以外に、イオンチャネルの活性化とイオン透過の制御に関する研究を推進し、GIRKチャネルの新規アンタゴニストに関する学会発表を行い、また、GIRKチャネル、TRPV1チャネル、THIKチャネルを対象とした論文を発表した。
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