研究課題
本研究では、これまでの研究代表者らが開発したp16CreERT2・CAG-LSL-tdTomatoマウスを用いた研究結果から、加齢に伴ってその数が顕著に増加することが明らかになっている、線維芽細胞・血管内皮細胞・単球細胞・近位尿細管細胞・肝細胞・神経細胞特異的な老化細胞を可視化・除去・部分的リプログラミング可能なマウスを作製し、個体老化や加齢性疾患の病態改善や副作用を解析する。さらに、老化細胞除去・部分的リプログラミング前後のマウスを用いて、一細胞解析や空間トランスクリプトーム解析を行うことで、両介入法による組織中の細胞間ネットワーク変換の基礎となる分子メカニズムを比較検証する。本年度は、細胞種特異的な除去マウスを作製するために、p16-CreERT2・CAG-LSL-RSR-tdTomato-DTRマウスと各細胞種特異的にDreERT2を発現するマウスを交配した。次に、これら細胞種特異的な老化細胞可視化・除去マウスが実際に各細胞種特異的に標識できているかを確認するために、若齢期のマウスにタモキシフェンを投与することでCreERT2・DreERT2を活性化して細胞をtdTomatoで標識し、組織切片を作製し各細胞種特異的なマーカーに対する抗体を用いて蛍光免疫染色を行い、共焦点顕微鏡を用いた高解像度イメージング解析を行ったところ、その割合は非常に少ないものの、線維芽細胞・肝細胞・神経細胞に関しては細胞種特異的な老化細胞の標識が可能であることが明らかになった。さらに、肝細胞特異的な老化細胞可視化マウスに関して、慢性肝障害モデルを誘導して解析を行ったところ、その割合が顕著に増加することが確認できた。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、細胞種特異的な老化細胞の標識が可能なマウスモデルを構築することができたため。
今後は、、構築した細胞種特異的な老化細胞可視化マウスを用いて、一細胞遺伝子発現解析を行う。さらに、細胞種特異的な老化細胞の除去が可能なマウスモデルの構築を行い、細胞種特異的な老化細胞の除去が加齢性疾患・個体老化に与える影響を解析していく。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 9件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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