研究課題/領域番号 |
23H02759
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
園下 将大 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (80511857)
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研究分担者 |
市川 聡 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (60333621)
五十嵐 学 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (10374240)
小沼 剛 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 助教 (10631682)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 膵がん |
研究実績の概要 |
膵がんは患者予後が最も悪く、その新規治療法の創出は喫緊の福祉課題である。近年遺伝子型に応じた個別化医療の有用性が注目されているが、膵がんに関しては遺伝子型の差異が治療応答性等のがん形質に与える影響や治療標的が個体レベルで十分に解明されておらず、開発が遅れている。本研究ではこれを解決すべく、個体レベルの網羅的解析が可能で代表者らが治療薬シーズ開発の実績を有するショウジョウバエを、哺乳類実験系と相補的に活用する。これにより、膵がん個別化医療創出の研究基盤と治療薬候補の提示を実現し、学術貢献と福祉向上の双方への貢献を目指す。 本年度は、膵がんの遺伝子型の差異が膵がん形質や治療応答性に与える影響の解明に取り組んだ。膵がんにおいては、がん遺伝子KRASの活性化、がん抑制遺伝子群TP53・CDKN2A・SMAD4の不活性化が単独あるいは組み合わせとして頻繁に観察される。そこで代表者らはまず、膵がんの多様な遺伝子型を模倣したモデルショウジョウバエを作出し、これらの間で表現型を比較した。次に、これらのハエを使用して網羅的遺伝学スクリーニングを開始し、それぞれの遺伝子型が異なるシグナル伝達経路を駆動することを見出し、新規治療標的候補を同定した。一方代表者らは近年、膵がん形質を著明に抑制する治療薬シーズを同定することに成功している。代表者らはこのシーズが阻害する標的キナーゼが幅広い遺伝子型のモデルハエにおいて腫瘍形質の抑制を示すことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通り、膵がんの多様な遺伝子型を模倣するモデルハエ群を作出し、これらを使用した遺伝学的スクリーニングによって新規治療標的候補の一部を見出すことに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
上記の成果を踏まえ今後は、遺伝学的スクリーニングを完遂して治療標的候補を網羅的に同定することを目指す。そして、腫瘍形質の発現におけるこれらの遺伝子の役割を、培養ヒト膵がん細胞を使用した遺伝子ノックダウンあるいはノックアウト実験により解析する。加えて、上記モデルハエ群や細胞を使用し、これらの標的を阻害する治療薬シーズの抗腫瘍効果を検討する。
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