研究課題/領域番号 |
23H02786
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
宇賀 貴紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50372933)
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研究分担者 |
熊野 弘紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (40568325)
須田 悠紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (60775675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脳・神経 |
研究実績の概要 |
環境に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチングは、ヒトを含めた霊長類特有の適応的な認知機能である。我々はこれまで、2つの環境(ルール)に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチ課題を世界ではじめてサルに適用し、柔軟な判断に「どの」情報を「いつ」収集するのかを制御するシステムが大きく関わっていることが明らかにしてきた。本研究では、柔軟な判断に必須である情報収集と情報選択の制御機構を解明するため、情報収集の開始を制御する神経機構、および情報選択を制御する神経機構を明らかにする。 本研究で扱う運動方向判断と奥行き判断課題に大脳皮質MT野とLIP野が関わっていることはわかっているが、MT野がランダムドット刺激呈示後60msで反応するのに対し、LIP野が情報を蓄積しはじめるのはランダムドット呈示後200msくらいである。このことから、MT野の情報は直接LIP野に到達するのではなく、前頭葉や大脳基底核などを経由するとの考えがある。 そこで、MT野のどの投射先が判断形成に重要であるかをDREADD法を用いて明らかにするため、MT野に抑制性DREADD受容体であるhM4Di受容体を発現させ、リガンドであるDCZをMT野の投射先に注入し、LIP野での判断関連活動と運動方向判断課題の成績への影響を検証することを目標とした。DCZを全身投与した結果、MT野ニューロンの自発活動が低下することが確認できた。ただし、MT野の誘発反応および運動方向判断課題の成績への影響は小さかったため、MT野では抑制性細胞にもhM4Di受容体が発現していたと解釈した。次に、DCZをMT野の投射先に注入しとときの効果を検証することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MT野に抑制性DREADD受容体であるhM4Di受容体を発現させ、リガンドであるDCZを全身投与した結果、MT野ニューロンの自発活動が低下することが確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
MT野では抑制性細胞にもhM4Di受容体が発現していたと考えられるため、DCZをMT野の投射先に注入しとときの効果を検証する。
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