研究課題/領域番号 |
23H02799
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山川 和弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30241235)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 神経発達症 / SCN2A / SCN1A |
研究実績の概要 |
(1)てんかん性脳症ドラべ症候群における突然死発症神経回路の解明 電位依存性ナトリウムチャネルαサブユニットNav1.1をコードするSCN1A遺伝子の機能喪失変異によって引き起こされる ドラべ症候群の突然死発症神経回路を明らかにするため、SCN1Aプロモーターで駆動される蛍光マーカータンパクGFPを発現するトランスジェニックマウスを作成し解析し、Nav1.1が大脳皮質においてはパルブアルブミン陽性高頻度発火抑制性神経細胞であるバスケット細胞と興奮性細胞である錐体路投射細胞などに発現することを明らかにした(Yamagata et al., eLife 12:e87495, 2023)。
(2)SCN2A変異による神経発達症行動異常発症神経回路の解明 Scn1a-GFP マウスを利用した神経発達症で最も多く変異が見られる遺伝子であるSCN2AがコードするNav1.2の詳細な解析は、Nav1.2 が皮質視床投射細胞や皮質線条体投射細胞に発現することをも示した(Yamagata et al., eLife 2023)。加えて、我々は、 統合失調症の生物学的マーカーとして知られる聴覚性驚愕反応プレパルス抑制の低下が内側前頭前皮質特異的Scn2a遺伝子欠損モデルマウスで 見出され、一方、腹側被蓋野における欠損モデルマウスでは逆の効果が認められることを見出し、先行研究の知見と併せて自閉症と統合失調症 の統合的理解に通ずるPPI神経回路の提唱に至った(Suzuki et al., Mol Neurobiol 61(2):622-634, 2024)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)てんかん性脳症ドラべ症候群における突然死発症神経回路の解明 SCN1Aプロモーターで駆動される蛍光マーカータンパクGFPを発現するトランスジェニックマウスを作成し解析し、Nav1.1が大脳皮質においてはパルブアルブミン陽性高頻度発火抑制性神経細胞であるバスケット細胞と興奮性細胞である錐体路投射細胞などに発現することを明らかにし、論文報告した(Yamagata et al., eLife 12:e87495, 2023)。
(2)SCN2A変異による神経発達症行動異常発症神経回路の解明 Nav1.2 が皮質視床投射細胞や皮質線条体投射細胞に発現することをも示した(Yamagata et al., eLife 2023)。加えて、我々は、 統合失調症の生物学的マーカーとして知られる聴覚性驚愕反応プレパルス抑制の低下が内側前頭前皮質特異的Scn2a遺伝子欠損モデルマウスで 見出され、一方、腹側被蓋野における欠損モデルマウスでは逆の効果が認められることを見出し、先行研究の知見と併せて自閉症と統合失調症 の統合的理解に通ずるPPI神経回路の提唱に至り、論文報告した(Suzuki et al., Mol Neurobiol 61(2):622-634, 2024)。
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今後の研究の推進方策 |
(1)てんかん性脳症ドラべ症候群における突然死発症神経回路の解明 SCN1AーGFPトランスジェニックマウスを作成し解析し、Nav1.1が大脳皮質においてはパルブアルブミン陽性高頻度発火抑制性神経細胞であるバスケット細胞と興奮性細胞である錐体路投射細胞などに発現することを明らかにし、論文報告した(Yamagata et al., eLife 12:e87495, 2023)。今後、さらに検証するために引き続き、逆行性色素をScn1a-GFPマウスの中脳・橋接合部、脊髄に注入することで錐体路投射細 胞を標識し、Nav1.1 の錐体路投射細胞での発現の詳細を明らかにする。 (2)SCN2A変異による神経発達症行動異常発症神経回路の解明 SCN2AがコードするNav1.2の詳細な解析は、Nav1.2 が皮質視床投射細胞や皮質線条体投射細胞に発現することをも示した(Yamagata et al., eLife 2023)。加えて、我々は、 統合失調症の生物学的マーカーとして知られる聴覚性驚愕反応プレパルス抑制の低下が内側前頭前皮質特異的Scn2a遺伝子欠損モデルマウスで 見出され、一方、腹側被蓋野における欠損モデルマウスでは逆の効果が認められることを見出し、先行研究の知見と併せて自閉症と統合失調症 の統合的理解に通ずるPPI神経回路の提唱に至った(Suzuki et al., Mol Neurobiol 61(2):622-634, 2024)。今後さらに腹側被蓋野、惻座核を中心とした解析を進める。
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