研究実績の概要 |
中四国で遺伝子解析研究を行うための研究体制を現所属先で構築し、共同研究施設よりDNAやリンパ芽球様細胞を収集できる体制を構築し、実際に検体の収集を開始した。神経核内封入体病、眼咽頭遠位型ミオパチー、CANVAS (cerebellar ataxia, neuropathy, and vestibular areflexia syndrome)などリピート伸長疾患の診断を行う系を再構築した。神経核内封入体病の患者由来線維芽細胞を樹立した。エクソーム解析、全ゲノム配列解析を行う体制も構築し、ExpansionHunterDeNovoを用いてリピート伸長変異を検出することも可能となった。また、家系解析を進める上でのツールとして、エクソーム解析、全ゲノム配列解析データを用いて連鎖解析を行う系と、トリオ検体を用いて新生突然変異を検出するパイプラインも構築した。この系を用いて、CANVASの1家系を用いてLOD score=3.0となる領域を原因遺伝子RFC1を含む領域に同定できることを確認した。また、既知の新生突然変異を有する家系を用いて新生突然変異の検出が可能であることを確認した。最後に、神経核内封入体病に類似した白質脳症を呈した家系のトリオ解析を行った。本家系では既知の遺伝子の病原性バリアントは検出されず、新規のCGGリピート伸長変異や病原性と思われる新生突然変異についても検出することができず、引き続き構造変異やミトコンドリア遺伝子なども含めて検討が必要であることが判明した。
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