研究課題/領域番号 |
23H02839
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
竹林 実 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60304440)
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研究分担者 |
青木 淳賢 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20250219)
岩本 和也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40342753)
服部 功太郎 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, メディカルゲノムセンター, 部長 (50415569)
可野 邦行 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (50636404)
朴 秀賢 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (60455665)
梶谷 直人 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (60755742)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | うつ病 / リゾリン脂質代謝 / リゾフォスファチジン酸受容体1 / 層別化 / 創薬 |
研究実績の概要 |
抗うつ薬のプロトタイプである三環系抗うつ薬(TCA)が、直接、リゾフォスファチジン酸受容体1(LPAR1)に結合し、G蛋白に選択的に活性化するバイアス型アゴニストであることを証明した。また、他の抗うつ薬にはないユニークな作用であることも見出した。さらに、うつ病モデルマウスあるいはストレス条件下において、TCAや選択的なLPAR1バイアス型アゴニストは、抗うつ薬様の行動をLPAR1を介して発揮し、その効果は海馬を介する可能性があることも示した。また、ドラッグリポジショニングの観点から、臨床で身体疾患も含めて広く用いられている既存薬約1600種類の中から、LPAR1バイアス型アゴニストの1次スクリーニングも終了した。 一方で、うつ病モデルマウスにおいて、リゾリン脂質代謝の一翼を担っているLPAR1の内因性リガンドLPAの合成酵素オートタキシン(ATX)が変化していることを見出した。従って、リゾリン脂質代謝障害を基盤としたうつ病が存在する可能性と、LPAR1を標的とした新規抗うつ薬の開発の可能性を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに、TCAに関するin vitroおよびモデルマウスを用いたin vivo実験を行い、研究実績の概要に示したような結果が得られている。従って、研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ドラッグリポジショニングによるLPAR1バイアス型アゴニストの2次スクリーニングを行い絞り込みを行い、創薬の候補化合物を見出す予定である。一方で、ATX遺伝子改変マウスの作成、患者サンプルでのATX測定などを行いうつ病の層別化を行うための研究も推進する予定である。
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