研究課題/領域番号 |
23H02885
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鳴海 覚志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40365317)
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研究分担者 |
才津 浩智 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40402838)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 全ゲノム解析 / 非コード領域 / 連鎖解析 / オープンプロマチン / ディープイントロン / メンデル遺伝 |
研究実績の概要 |
非コードゲノム領域と疾患との関連に着目した4年計画の本研究の1面目の研究実績の概要を記述する。非コードゲノム領域のうち、転写制御因子の結合など機能性を発揮する領域はオープンクロマチン構造をとることが知られる。このオープンクロマチン構造領域のゲノムワイド探索手法としてAssay for Transposase-Accessible Chromatin (ATAC)-seqが広く利用されるようになっている。本研究では、ヒト組織のシングルセルATAC-seqデータのカタログCATlasの156セルタイプ(甲状腺細胞、副腎皮質束状層を含む)の公開データを取得し、分析を試みた。LinuxベースのフリープログラムMegadepthで.bw形式のファイルをMicrosoft Excelで展開可能なcsvデータへ変換し、156セルタイプの平均値・標準偏差値を用いて正規化することで内分泌細胞に特異的なオープンクロマチン領域を定義した。今後、非コードゲノムでの重点的解析対象領域の絞り込みや転写因子解析の際のレポーターコンストラクト設計などの資料として活用予定である。連鎖解析では、5世代21名の先天性甲状腺機能低下症患者からなる日本人大家系(既知責任遺伝子の関与をエクソーム解析から除外)で解析を行いLODスコアピーク領域(3 Mb)を常染色体顕性遺伝・先天性甲状腺機能低下症に関連する候補領域として同定した。本家系の構成員、および独立した原因不明家系でのでショートリード全ゲノム解析を行い、疾患関連バリアントの特定に至った。2年目にあたる2024年度にはこれらの成績をまとめての論文発表を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画におおむね沿う形で研究が推移している。2024年度中に最初の研究成果を論文発表できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の解析から非コード領域ゲノム異常に伴う新規の先天性甲状腺機能低下症の病型の同定に成功している。2年目からは、引き続き性分化疾患や先天性副腎皮質機能低下症の非コードゲノム異常の探索を続けることと並行して、この新規の先天性甲状腺機能低下症のフォローアップ解析として、臨床像解析、一般集団における頻度解析などを行ってゆく。
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