研究課題/領域番号 |
23H02913
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
木村 航 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (60452182)
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研究分担者 |
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 心筋細胞 / AMPK / 心筋梗塞 / 細胞周期 |
研究実績の概要 |
心疾患,とりわけ心筋梗塞などの虚血性心疾患は世界の死因の第一位を占めている.この現状の背景には,われわれヒトやマウスなどの哺乳類の成体では大部分の心筋細胞が増殖能を持たず,そのため我々には損傷を受けた心筋を再生する能力がないという事実がある.一方,出生直後の新生仔の心筋細胞は,組織損傷に応じて細胞周期に入り心筋組織を再生させることができる.しかし出生後数日以内にほとんどの心筋細胞は細胞周期を停止し,同時に心筋再生能も失われる.したがって,心筋細胞での細胞周期を制御する分子機構を理解することは,新たな心筋再生法の開発に大きく資すると考えられる.しかし今に至るまで,新生仔の心筋細胞の細胞周期を停止する分子機構,および成体の心筋細胞で細胞周期を再び活性化する分子機構に関する知見は断片的なものにとどまっている. われわれは,これまでに心筋細胞の細胞周期制御機構としてミトコンドリア代謝の重要性を示してきた.本研究では,これらの知見を踏まえ,ミトコンドリア代謝の上流,下流の制御機構の同定と,それらへの介入による新たな心筋再生法の確立のための基盤的知見を得ることを目的としている.以前の研究により,ミトコンドリア代謝の上流の制御因子としてAMPKシグナル伝達経路を見出している.現在,AMPKシグナルの下流の制御因子の探索のための準備を進めている.AMPKシグナルの心筋細胞特異的かつタモキシフェン依存的なノックアウトマウスを作成し,出生後にタモキシフェンを導入することでAMPKシグナルをノックアウトしたのち,下流因子探索のためのサンプル準備を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AMPKシグナルを心筋細胞特異的かつ出生後にノックアウトするためのAMPKα1, AMPKα2のダブルノックアウトマウスの作成と,その下流の同定のためのリン酸化プロテオーム解析の準備が進んでいる.さらにミトコンドリアダイナミクスに関連する下流候補因子の解析も進行中である.以上のことから研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
AMPKノックアウトマウス心臓のリン酸化プロテオーム解析を進め,AMPKシグナルの下流候補因子を同定する.さらに下流候補因子であるミトコンドリアダイナミクス関連因子への介入による代謝変化,心筋細胞増殖変化,心筋再生の有無を検討する.
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