研究課題/領域番号 |
23H02966
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東 浩太郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30401110)
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研究分担者 |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
大崎 昭彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90291484)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乳癌 / TRIM47 / ユビキチン化 / オートファジー / PDC/PDXモデル |
研究実績の概要 |
癌診療においては、標準的な治療を行ったにもかかわらず、その効果が乏しい場合、癌の性質に合わせた個別の治療が必要になる。遺伝子変異の情報から個別化された治療を提案するゲノム診療が実用化されているが、有効な治療法に結びつかない症例も数多く存在するのが現状である。私たちは、遺伝子よりも直接的にがんの振る舞いを左右する蛋白質やその修飾状態に着目し、乳癌の新たな治療標的を探索している。具体的には、TRIM蛋白質に注目し、それらによる他の蛋白質のユビキチン化修飾、およびその修飾による生物学的な意義について解明を進めている。本研究では、A)トリプルネガティブ乳癌におけるTRIM47の役割、B)TRIMファミリー蛋白質の新規基質の探索、C) TRIM47を介する蛋白質安定化のメカニズム、D) 新規治療標的の有効性の評価、を目的としている。 A)に関しては、虎の門病院、埼玉医科大学にてトリプルネガティブ症例の手術検体の収集を進めている。ある程度集積した時点で、TRIM47抗体による免疫染色を施行予定である。B)に関しては、質量分析で網羅的に同定した候補蛋白質との結合のvalidationを行っている。C)に関しては、TRIM47により安定化されることを既に報告したPKCeおよびPKD3の安定性に関してオートファジーによる制御をうけていることを示唆するデータを得ており、さらなる詳細なメカニズムを解析中である。また、TRIM47との結合が新たに確認された核内受容体に着目し、ドメインごとに細胞内で発現させることにより、結合部位を同定するとともに、安定化に関しても解析中である。D)に関しては、乳癌患者の癌性胸水由来の細胞株を東京都健康長寿医療センターにて樹立中である。これは、今後新規標的の有効性の評価に活用予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属組織固有の仕事に時間をとられ、研究に割ける時間がやや不足した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、A)トリプルネガティブ乳癌におけるTRIM47の役割、B)TRIMファミリー蛋白質の新規基質の探索、C) TRIM47を介する蛋白質安定化のメカニズム、D) 新規治療標的の有効性の評価、を目的としている。A)に関しては、研究分担者、共同研究者と緊密に連携し、トリプルネガティブ症例の手術検体の収集をさらに促進する。B)、C)に関しては、研究代表者の担当している実験であり、技術補佐員の雇用も検討し、研究の効率化を図る。D)に関しては、乳癌患者の癌性胸水由来の細胞株を東京都健康長寿医療センターにて樹立中であり、動物移植モデルの樹立を目指す。
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