研究課題
本研究では,申請者らが小動物において開発した腸管へのオルガノイド移植技術に手術を組み合わせることで,大腸上皮の上皮機能を細胞置換により変換するコンセプトのさらなる研究の進展を目指している.これまでに,ラットにおいて小腸/大腸オルガノイドを樹立し,オルガノイドによる術者への盲検化を含めたオルガノイド移植系を確立してきた.小腸オルガノイド移植群の全小腸切除ラットの個体では,大腸オルガノイド移植群に比して有意な生存期間延長効果を確認できている.移植した生着範囲が広いほど治療成績は良い傾向があり,さらなる手法の最適化により広範な生着を目指した手法の改変を行った.このような最適化をマウスやラットにおいて行っているが,並行して,ヒトの腸管径に近い大動物で実施,検討を行うことは重要な意義をもつ.ミニブタの腸管から大腸/小腸上皮オルガノイドを樹立し,移植細胞としてエレクトロポレーション法により蛍光標識した細胞を大量培養した.小動物で確立した手法を改変し,大動物に適した手術手法を検討し,移植する場となる大腸の上皮剥離の検討を重ねた.様々な条件での組織学的な検証を繰り返し,上皮剥離が可能となる条件での小腸細胞移植実験を実施した.結果として,ミニブタ大腸への小腸上皮細胞の自家移植に成功し,移植組織では大腸とは異なる小腸の性質が保持されていることを確認できた.大腸に関連する臨床病理学的な解析を含む多角的な上皮機能の理解によりさらなる最適化を目指す.
2: おおむね順調に進展している
本研究では,これまでの研究手法を大動物に応用することで,ミニブタの大腸へのミニブタの小腸オルガノイドの生着の成功という大きなステップをすすめることができた.研究は順調な進展をみせている.
手法の改変による低侵襲化,移植効率のさらなる向上を目指し,条件検討を重ねる.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)
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