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2023 年度 実績報告書

薬剤耐性と核酸医薬治療

研究課題

研究課題/領域番号 23H02999
配分区分補助金
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

小林 祥久  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30734628)

研究分担者 白石 友一  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (70516880)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード薬剤耐性
研究実績の概要

がん治療薬開発の進歩は目覚ましいが、最多の発がん遺伝子ファミリーRASの多くの変異など既存の創薬機序の応用では対応できない遺伝子変異には、新しい観点からの開発が求められる。本研究は、これまで直接標的とすることが難しかったRAS Q61変異の発がん機構の弱点発見から 新規治療への応用に成功した先行研究 (Nature 2022)をもとに、1)がんのスプライシングを標的とした治療コンセプトをRAS以外の他の遺伝子への応用と、2)これまでがん治療領域においては未承認薬である核酸医薬の臨床応用に向けた創薬基盤作りを行う。
項目1)スプライシング制御因子に着目して、スプライシングに対して脆弱な領域を探索するための独自のアルゴリズムを構築した。アルゴリズムに基づくゲノムワイド探索によって、標的候補遺伝子のエクソンを網羅的に抽出した。まずは正常細胞を用いて、野生型配列に対する核酸医薬を設計した。これらの部位で核酸医薬によってスプライシング異常を誘導できるかどうかを検証し、アルゴリズムと相関した結果を得られた。
項目2)将来的な核酸医薬によるがん治療の実用化を見据えて、核酸医薬による治療後にさらなる薬剤耐性を獲得して効かなくなってしまうか、もし耐性を獲得するのであれば潜在的にどのような耐性機序が生じ得るかを明らかにするために、5種類のがん細胞株に対して変異特異的な核酸医薬を設計した。これらの細胞株を核酸医薬存在下で長期間培養することで、薬剤耐性株を樹立することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り進んでいるため。

今後の研究の推進方策

構築したアルゴリズムの精度を検証するとともに、正常細胞だけでなくがん細胞を用いて、標的候補遺伝子のエクソンで核酸医薬によるスプライシング異常を誘導できるかを検証する。
耐性細胞については、さらに追加で5種類の細胞株から核酸医薬による薬剤耐性株の樹立を計画している。また、従来の低分子化合物による耐性機序と、核酸医薬ならではの潜在的な耐性機序も考慮した上で、次世代シークエンスを含めた多角的なアプローチによって耐性機序の解明に挑む。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件)

  • [雑誌論文] Molecular pathology quality control in Southeast Asia: Results of a multiregional quality assurance study from MASTER KEY Asia2023

    • 著者名/発表者名
      Okuma HS, Yoshida H, Kobayashi Y, Arakaki M, Mizoguchi C, Inagaki L, Voon PJ, Malik Bin Ismail A, Fen Soo Hoo H, Yusak S, Severino B Imasa M, Nguyen Huy T, Thai Anh T, Kohsaka S, Mano H, Yonemori K, Nakamura K, Yatabe Y.
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 114 ページ: 2664-2673

    • DOI

      10.1111/cas.15790

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ゲノム編集細胞によるRAS遺伝子のスプライシングの弱点発見とがん治療への応用2024

    • 著者名/発表者名
      小林祥久
    • 学会等名
      4th Fukuoka RNA Commons
    • 招待講演
  • [学会発表] 1症例・1細胞から展開するドライバー変異肺がん研究2023

    • 著者名/発表者名
      小林祥久
    • 学会等名
      第49回日本肺癌学会北海道支部学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] CRISPRゲノム編集細胞モデルの薬剤耐性で迫る発がん機構2023

    • 著者名/発表者名
      小林祥久
    • 学会等名
      金沢大学がん進展制御研究所セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Various type of mutations in driver oncogene positive cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshihisa Kobayashi
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] Splicing Vulnerability in RAS Q61 Mutant Cancers2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshihisa Kobayashi
    • 学会等名
      International Academy for Advanced Oncology 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] CRISPRモデルによる薬剤耐性研究からRASの弱点発見へ2023

    • 著者名/発表者名
      小林祥久
    • 学会等名
      お茶の水がん学アカデミア第179回
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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