研究課題/領域番号 |
23H03010
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小倉 裕司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (70301265)
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研究分担者 |
蛯原 健 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (10813975)
入澤 太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (50379202)
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
織田 順 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60459500)
松本 寿健 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (70644003)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 幹細胞 / 再生 / 侵襲 / エピジェネテイクス / ジェネティクス / 統合解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幹細胞移植が侵襲時の再生応答、免疫応答を適切に制御する新たなメカニズムをジェネテイクス・エピジェネテイクス統合解析で明らかにすることである。以下の2点に目標を絞って研究を進めた。①多臓器障害モデルにおいて、各種幹細胞移植が効果を発揮するメカニズムとして、網羅的遺伝子変化(ジェネテイクス)及びエピジェネテイク修飾の統合解析を行い評価する。②各幹細胞移植による血管内皮、腸管上皮における再生応答、免疫応答をジェネテイクスおよびエピジェネテイクス統合解析により明らかにし、血管内皮、腸管上皮バリアとの関連を解析する。 令和5年度は、多臓器障害モデル研究に先行して主に臨床検体を用いた網羅的遺伝子変化(ジェネテイクス)及びエピジェネテイク修飾の研究を行った。同研究ではCOVID-19や敗血症、ARDS、熱傷、外傷の多臓器障害患者の臨床検体(全血球)を用いてジェネテイクス及びエピジェネテイク修飾を評価した。多臓器障害患者の臨床検体を用いてジェネテイクスを評価したところ、健常人と比較して急性免疫応答(Acute inflammatory response, Cell activation, Leukocyte activation, T cell activation等)に関連する遺伝子群発現が増加していた。同多臓器障害患者コホートの臨床検体(全血球)を用いて、エピジェネテイク修飾(DNAメチル化)の評価を開始した。現在、エピジェネテイク修飾の結果をジェネテイクスの結果と統合解析した結果、多臓器障害動物モデルの検体を用いてジェネテイクスとエピジェネテイク修飾の結果を統合解析し、多臓器障害患者における結果が再現できることを確認中である。また、準備が整った動物モデル研究から順次進め、幹細胞移植の効果をジェネテイクス・エピジェネテイクス統合解析により評価を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、幹細胞移植が侵襲時の再生応答、免疫応答を適切に制御する新たなメカニズムをジェネテイクス・エピジェネテイクス統合解析で明らかにすることであり、令和5年度は、多臓器障害モデル研究に先行して主に臨床検体を用いた網羅的遺伝子変化(ジェネテイクス)及びエピジェネテイク修飾の研究を行った。同研究ではCOVID-19や敗血症、ARDS、熱傷、外傷の多臓器障害患者の臨床検体(全血球)を用いてジェネテイクス及びエピジェネテイク修飾を評価した。多臓器障害患者の臨床検体を用いてジェネテイクスを評価したところ、健常人と比較して急性免疫応答(Acute inflammatory response, Cell activation, Leukocyte activation, T cell activation等)に関連する遺伝子群発現が増加していた。同多臓器障害患者コホートの臨床検体(全血球)を用いて、エピジェネテイク修飾(DNAメチル化)の評価を開始した。現在、エピジェネテイク修飾の結果をジェネテイクスの結果と統合解析した結果、多臓器障害動物モデルの検体を用いてジェネテイクスとエピジェネテイク修飾の結果を統合解析し、多臓器障害患者における結果が再現できることを確認中である。また、準備が整った動物モデル研究から順次進め、幹細胞移植の効果をジェネテイクス・エピジェネテイクス統合解析により評価を開始している。 以上より、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は令和5年度の実績を踏まえ、以下の点に目標を絞り研究を実施する。 多臓器障害モデルにおいて、骨髄間葉系幹細胞、骨髄由来単核球細胞、腸管上皮幹細胞の細胞移植による効果をジェネテイクス・エピジェネテイクス統合解析を行い評価する。 すでに確立した敗血症(盲腸結索穿刺による腹膜炎による多臓器障害マウスモデルを用い、血管内細胞移植には、健常マウスの脛骨、腓骨から採取する骨髄間葉系幹細胞、骨髄由来単核球細胞を使用する。各細胞移植群および非移植群において生存率を確認する。また、侵襲前、侵襲後3時間、6時間、24時間における血液・血球を用いた網羅的生体分子学情報を解析する。血液DNA/RNAシークエンスとしてDNA, mRNA, non-coding RNA, single cell RNAを評価する。血漿を用いた網羅的蛋白発現解析として非特定蛋白質量分析(Bruker)を行い、またProteomics(Olink)を用いて炎症に関連する特定蛋白を測定する。エピゲノム解析としては、1.全DNAメチル化シークエンス解析、2.ATAC-シークエンス解析(Assay for Transposase-Accessible Chromatin sequencing)(タカラバイオ)を行う。1.では、全ゲノムを対象にシトシンのメチル化率を算出する。各侵襲、各幹細胞移植に伴い、どの遺伝子領域(プロモーター領域等)のメチル化により遺伝子発現が抑制されているか評価する。2.では、オープンクロマチン領域のDNAを抽出後に次世代シークエンスをする。各侵襲、各幹細胞移植に伴うエピゲノム変化を起こす転写因子などを同定する。以上から、各種幹細胞移植に関連するエピゲノム変化を解明する。ジェネテイクス・エピジェネテイクス統合解析から、各種幹細胞移植の効果に関する新規メカニズムを明らかにする。
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