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2023 年度 実績報告書

早産児の消化管成熟に向けた治療戦略:肺サーファクタントと胎脂の生理活性に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 23H03040
配分区分補助金
研究機関新潟大学

研究代表者

西島 浩二  新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80334837)

研究分担者 内村 智博  福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40346820)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード肺サーファクタント / 胎脂 / ミセル / 超低出生体重児 / 超早産児 / 壊死性腸炎 / 質量分析法 / 多光子イオン化法
研究実績の概要

研究代表者はこれまで、羊水中に存在する肺サーファクタントと胎脂の体内動態を検討するために電子顕微鏡観察法を用いてきた。本法はミセル構造を高分解に観察できる優れた手法であるが、試料を真空化に置く必要があること、またミセル分子の動きをマクロな視点で追跡することが難しいといった欠点があった。共同研究者の内村らは以前より、気体試料の測定に用いる多光子イオン化質量分析法を、エマルション試料の直接質量分析に応用してきた。本研究期間では、福井大学工学部との共同研究により、多光子イオン化質量分析法を用いた肺サーファクタントと胎脂複合体の直接分析の可能性を検討した。また、電子顕微鏡観察法の改良と確立を目指して、クライオ透過型電子顕微鏡を用いた単粒子解析を試みた。
疎水性成分(検出成分)を含むリポソームを作製し、多光子イオン化質量分析法を用いて測定した結果、検出成分がリポソームに内包されていることを示す信号を得ることが出来た。マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法を用いた実験ではリン脂質由来とみられる信号が検出され、電子スプレーイオン化質量分析法を用いた測定でも複数のピークが確認された。また、検出成分を含むエマルションを多光子イオン化質量分析法により測定した結果、検出成分が局在化していることを示す信号を明瞭に観測することが出来た。本研究を進めることで、各種質量分析法を組み合わせた羊水中のミセル分子の直接検出が期待される。
次に、妊娠30日目の妊娠ウサギ(Japanese white rabbit)から採取した羊水を-175℃まで急速凍結した後、クライオ電子顕微鏡(JEM-2200FS)を用いて観察した。羊水は夾雑物を多く含んでいるため、クライオ電子顕微鏡法による探索は難渋したが、サーファクテンミセルと同様の形態を有する粒子を少数ながら検出することが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

福井大学工学部との共同研究により、各種質量分析法を用いた「羊水中に存在するミセル分子(肺サーファクタントと胎脂の複合体)の直接分析」の可能性を検討した。また、クライオ透過型電子顕微鏡を用いて、羊水中のミセル分子の単粒子解析を試みた。これらは、いずれも世界初の技術の確立を目指しており、成果を得るには相応の時間が必要である。それらの点を考慮し、本研究の現在までの進捗状況を概ね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

研究実施計画書に則り、サーファクテンミセル溶液による壊死性腸炎予防効果のメカニズムを検討する。Guvenらの手法に倣い、ラット新生仔に負荷を加えて壊死性腸炎モデルを作成する。80匹のラット新生仔を出生直後に4群に振り分ける: NEC群(壊死性腸炎群); NEC+STA群(サーファクテンミセル溶液を投与した後に、壊死性腸炎負荷を加える群); control群(母ラットの授乳を自由に受ける群); control+STA群(母ラットの授乳を自由に受けながら、サーファクテンミセル溶液を1日3回投与する群)である。実験開始4日目に、4群全ての新生仔を安楽死させ、壊死性腸炎の肉眼的所見の有無を観察する。次に小腸を摘出し、組織学的検討と生化学的検討を行う。
また、肺サーファクタントミセルの分析法の確立に向けて、各種質量分析法を用いて、羊水に類似した溶液の中の微小物質の検出を目指す。①分散している微小物質が油分を取り込んだ物質であるか否かを検証する。②分離後の微小粒子を測定し、構成成分の存在割合を検証する。③胎脂に近い油相成分を検出するための分析条件を探索する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Dedifferentiated fat cells administration ameliorates abnormal expressions of fatty acids metabolism-related protein expressions and intestinal tissue damage in experimental necrotizing enterocolitis2023

    • 著者名/発表者名
      Mimatsu Haruka、Onoda Atsuto、Kazama Tomohiko、Nishijima Koji、Shimoyama Yoshie、Go Shoji、Ueda Kazuto、Takahashi Yoshiyuki、Matsumoto Taro、Hayakawa Masahiro、Sato Yoshiaki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 8266

    • DOI

      10.1038/s41598-023-34156-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Obstetrical outcomes of pregnant women 50?years and older compared to those aged 45?49?years: A systematic review and meta‐analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Sugai Shunya、Sekizuka Tomoyuki、Haino Kazufumi、Nonaka Taro、Sekine Masayuki、Yoshihara Kosuke、Nishijima Koji
    • 雑誌名

      Journal of Obstetrics and Gynaecology Research

      巻: 49 ページ: 1689~1699

    • DOI

      10.1111/jog.15662

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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