研究課題/領域番号 |
23H03057
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大鹿 哲郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90194133)
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研究分担者 |
星 崇仁 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10757892)
巻田 修一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50533345)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 画像鮮明化 / 眼科画像 / 静止画 / 動画 / 画像ファイリングシステム |
研究実績の概要 |
産業用に開発された画像鮮明化アルゴリズムを医療用に最適化し,独自のアルゴリズム処理により,眼科映像(動画及び静止画)本来の質を復元させる方法を確立し,臨床応用している.人工知能(artificial intelligence,AI)で予測して作画したりせず,また他の画像加工処理ソフトのように情報を書き加えたりせずに,タイムラグなく鮮明化処理できる(遅延0.004秒).静止画に関しては,眼科画像ファイリングシステムに組み込むことにより,臨床の場で容易に鮮明化を行い,その場で患者説明に使用できるシステムを構築した.多くの画像ファイリングシステムとの整合性を検討し,Claio(Findex),アイメッツeyemet’s,NAVIS(ニデック),Manta Exp,コーワVK-2s(興和),Medius(ビーライン),K FILES(河野医科)への搭載を進めた.動画に関しては,涙道内視鏡手術,硝子体内視鏡手術,3D Heads-up手術における応用を進めている.臨床における応用とともに,混濁液を用いた基礎実験を行い,パラメータの最適化を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細隙灯顕微鏡写真,通常の眼底カメラによる眼底写真,広角眼底カメラ(OPTOS等)による眼底写真,手持ち眼底カメラによる眼底写真,フルオレセイン蛍光眼底造影,インドシアニングリーン蛍光眼底造影,optical coherence tomography angiography(OCTA),スマートフォンによる前眼部撮影,スマートフォンと凸レンズを用いて行う眼底写真(未熟児網膜症の評価など)など,様々な映像において画像鮮明化の効果を検討している.画像ファイリングシステムに取り込める画像については,患者説明への有用性を評価した. 動画については,涙道内視鏡の画像をリアルタイムで鮮明化することにより,手術時間が短縮され,手術結果も向上するとのデータが得られたので,解析を加え発表予定である.
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今後の研究の推進方策 |
動画については,硝子体内視鏡(町田製作所27G眼科内視鏡VIT-27MFY-S,ファイバーテック内視鏡FC-304 + FL-301 + FI-302)および涙道内視鏡(町田製作所LAC-06NZ-HS)を用い,画像鮮明化・解像度復元化の効果をin vitroモデルで確認する.白色混濁液あるいは赤血球希釈液を数段階の濃度で用意し,その溶液の中にチャートを設置する.内視鏡で観察し,鮮明化・復元高解像度化機能を種々のパラメータ設定でオンにした場合の視認性を比較する.3D Heads-up手術(アルコンNGENUITY 3D ビジュアルシステム,Carl Zeiss MeditecカールツァイスARTEVO 800)において,ダイナミックレンジ拡大,復元高解像度化,赤色透過を種々の条件設定で施行し,最適な条件を探る.硝子体切除,網膜処理,レーザー照射,白内障手術など各セグメントに分け,効果を定量的に評価する. 現在のリアルタイム鮮明化・復元高解像度化装置は 360mm×44mm×175mm程度のサイズの機器で,画像入力装置とモニターの間に設置して使用している.この機能を全てチップ化することにより,細隙灯顕微鏡,眼底カメラ,手術用カメラなど多くの撮像デバイスに埋め込むことができ,リアルタイム画像鮮明化の範囲が格段に拡がる.携帯デバイスでの活用が拡がれば,遠隔医療の発展に大きく寄与するものと考えられる.
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