研究課題/領域番号 |
23H03061
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
水木 信久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90336579)
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研究分担者 |
目黒 明 横浜市立大学, 医学研究科, 特任教授 (60508802)
竹内 正樹 横浜市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (80794081)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ベーチェット病 / ポリジェニックリスクスコア / ゲノムワイド関連解析 |
研究実績の概要 |
ベーチェット病は全身の諸臓器に急性の炎症を繰り返す原因不明の難治性疾患である。ベーチェット病は口腔内アフタ性潰瘍、眼症状、皮膚症状、外陰部潰瘍を主症状とし、関節炎、精巣上体炎、消化器症状、血管病変、中枢神経病変などの副症状を伴う。ベーチェット病は長期間に渡って再発と寛解を繰り返すため、ベーチェット病により重度の視力障害を来す患者は少なくない。また、特殊型症状は生命予後に大きな影響を及ぼすため、ベーチェット病の早期診断・早期治療が必要とされるが、ベーチェット病の発症要因や病態の全容は未だ明確ではない。ベーチェット病は人種を超えてHLA-B*51と顕著に相関することが知られている。また、近年の網羅的な遺伝子解析により、ベーチェット病の発症に関与する疾患感受性遺伝子が多数報告されている。このような遺伝情報はベーチェット病の病態解明だけでなく、ベーチェット病患者の「ゲノム個別化医療」の実現に向けた必須の基盤情報である。しかしながら、これまでに報告されている遺伝子はベーチェット病の遺伝要因全体の一部でしかなく、ベーチェット病の発症リスクに対して遺伝的効果の小さい遺伝要因の大多数は未同定のままであると推測されている。以上の背景を踏まえて本研究では、様々な遺伝的効果の遺伝要因を網羅的に加味して、各ベーチェット病患者の有する遺伝的リスクの累積をスコア化したポリジェニックリスクスコア(polygenic risk score:PRS)解析を実行し、ベーチェット病の発症リスクや臨床症状の発生・進展を予測するPRSを構築する。 2023年度は、日本人、トルコ人、イラン人、中国人集団を対象としたベーチェット病のゲノムワイド関連解析(genome-wide association study:GWAS)を実行し、PRS解析に用いるための各人種集団のGWASデータを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①日本人、トルコ人、イラン人、中国人集団を対象としたベーチェット病のGWASデータを用いて、人種特異的および人種横断的なベーチェット病のPRSモデルを構築する。その後、②新たな集団を用いて、構築したPRSモデルの有用性を検証し、ベーチェット病の発症リスクを最も高精度に予測するPRSを決定する。また、③ベーチェット病患者を臨床症状で層別化したPRS解析も実行し、各臨床症状の発生と進展を予測するPRSも構築する。 現在までに、日本人、トルコ人、イラン人、中国人集団を対象としたベーチェット病のGWASジェノタイピングを完了し、ベーチェット病のPRS解析に用いるための、各人種集団のGWASデータを取得している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、取得した各人種集団のGWASデータを用いて、人種特異的および人種横断的なベーチェット病のPRS候補モデルを構築する。その後、新たな集団を用いて、構築したPRS候補モデルの有用性を検証し、ベーチェット病の発症リスクを最も高精度に予測するPRSを決定する。また、ベーチェット病患者を臨床症状で層別化したPRS解析も実行し、各臨床症状の発生と進展を予測するPRSも構築する。
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