研究実績の概要 |
バイオマーカー測定対象者のうち必要量保存血漿が得られた3,758人を、認知症罹患者(ケース)1,859人と非罹患者(非ケース)1,899人とに分けて基本特性を比較した。ケースは非ケースに比べて試料収集時の平均年齢が高く(ケース対非ケース:65.2歳対57.3歳)、男性の割合が低かった(32.8%対36.6%)。 炎症マーカーである高感度CRP(hsCRP)と認知症罹患との関連解析を先行して実施した。 必要量保存血漿が得られたサブコホート2,224人での男女別hsCRPの分布に基づきhsCRPの4分位群を作成した。各4分位群のhsCRP(単位mg/dL)の範囲は、男性(N=807)では第1分位群(Q1):0.002 to 0.021、第2分位群(Q2):0.022 to 0.042、第3分位群(Q3):0.043 to 0.101、第4分位群(Q4):0.102 to 11.687、女性(N=1,417)ではQ1:0.001 to 0.016、Q2:0.017 to 0.032、Q3:0.033 to 0.074、Q4:0.075 to 16.415であった。 ケースコホートを性別と年齢階級との組み合わせで4つに層別し、ケースと非ケースとの間でhsCRPの4分位分布を比較した。その結果を、hsCRPがQ4であることのQ1であることに対する認知症罹患のオッズ比[95%信頼区間]を用いて表すと、男性45-64歳群(N=845):1.06[0.70 to 1.60]、男性65-74歳群(N=460):0.62[0.34 to 1.15]、女性45-64歳群(N=1,644):1.55[1.16 to 2.06]、女性65-74歳群(N=809):0.82[0.50 to 1.36]であった。女性45-64歳群においてのみhsCRP高レベルが認知症罹患高リスクと有意に関連した。
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