研究課題/領域番号 |
23H03283
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 達也 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00314211)
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研究分担者 |
江川 達郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (00722331)
横川 拓海 京都大学, 農学研究科, 助教 (80844323)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 糖化 / 骨格筋 / 筋再生 |
研究実績の概要 |
本研究では次の3つの課題に取り組み、骨格筋糖化が臓器連関を通じて個体老化を誘導する因子であることを明らかにすることを目的としている。1.骨格筋老化の主因の1つである筋再生能に対する糖化ストレスの影響を明らかにし、骨格筋自身の老化への影響を解明する。2.筋―臓器連関に欠かせない液性因子分泌に対する糖化ストレスの影響を明らかにし、臓器連関因子への影響を解明する。3.脳機能、運動機能ならびに各臓器・器官の老化マーカータンパク質の発現状態を評価し、骨格筋で生じる糖化ストレスによる全身性への影響を明らかにする。 1年目の今年度は、上記1について主に検討を進めた。まずC57BL/6マウスに対して、advanced glycation endo products (AGEs)-BSA(50 mg/kg)の反復投与(腹腔内・1回/日)を1週間実施し、糖化ストレスが負荷されたモデルを作成した。BSAのみを投与したマウスをコントロール群とした。続いて、両マウスの前脛骨筋にcardiotoxin(1 nmol)を筋注し筋損傷を誘発させ、投与3日後、7日後に筋を採取した。3日後の筋においてはAGEs投与群とコントロール群で明確な差異はなかったが、7日後の筋において、AGEs投与群はコントロール群と比較して、中心核保有筋線維数が有意に低値であった。また、胚性ミオシン重鎖発現もAGEs投与群で顕著に認められた。以上の結果は、糖化ストレスが、筋再生を遅延させることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りの検討を進め、仮説に沿った結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、筋再生への影響解析を行う。具体的には、筋摘出のタイムポイントを増やすこと、そして炎症性マクロファージの発現変化を免疫染色により解析を進めることにより、AGEsが筋再生を遅滞させる分子メカニズム解明を目指す。加えて、AGEs含有培地中での筋サテライト細胞の単離培養実験を進め、AGEsが骨格筋増殖および分化能へおよぼす影響についても解析を進める。
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