研究課題/領域番号 |
23H03284
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
七五三木 聡 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (20271033)
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研究分担者 |
小見山 高明 大阪大学, 全学教育推進機構, 講師 (20827688)
青山 千紗 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80823939)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 運動視 / 眼球運動 |
研究実績の概要 |
卓球選手は視覚に導かれた視覚運動反応を無数に実行し、これを連続視覚運動と呼び、腕運動とサッカード眼球運動によって彼らのラケットと視線はボールに向けられる。そのため、視覚情報の中でもボールなどの運動視標に関する情報処理能力(運動視能力)が重要な役割を果たし、運動視能力としての運動方向弁別能力が連続視覚運動パフォーマンスに寄与することを前年度に明らかにした。そこで本年度は、運動方向弁別の神経基盤であり背側視覚経路の運動視覚中心であるヒト V5/MT+ 複合体 (hMT+、マカク MT の推定ホモログ)の興奮性 を経頭蓋静磁場刺激(tSMS)を用いて低下させた時のVMDに対する影響を検討した。右視野から運動信号を受信する大脳左半球の hMT+ に tSMS を適用すると、右視野の運動方向弁別能力はtSMSにより抑制されるが、左視野では抑制されなかった。これは左右半球の各hMT+の興奮性が視野特異的に運動方向弁別能力に寄与し、連続視覚運動パフォーマンスの重要な決定因子になり得ることが示唆された。 卓球選手がプレイ中にボールを追視するためにサッカード眼球運動をすることから、非競技者に比べて卓球選手はサッカード能力が優れている可能性がある。この点を調べるために、アイトラッカーを実装した仮想現実ヘッドセットを用い、仮想現実内の運動視標と静止視を追跡する 2 つのボール追跡タスクを行ったところ、卓球選手は非競技者に比べ、運動視標を追視するサッカード能力(空間精度と再現性)が優れていることが明かになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実験を全て終了し、仮説通りの結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
球技スポーツでの高速な視覚運動反応に寄与する視覚機能を「潜在的スポーツ視覚機能(潜在視機能)」と定義し、神経基盤となるマグノ・背側視覚経路について「各領域・経路の機能特性に基づく視覚機能の計測・評価法」および「神経可塑性特性に基づく介入(トレーニング)法」を開発することが本研究の目的の一つである。現在、潜在的スポーツ視覚機能として、運動視能力および眼球運動能力を計測するシステムの開発は概ね伸展している。しかし、卓球を模した連続視覚運動課題においては、実際の卓球場面における放物線運動するボールを使った課題が未完成であるため、今後は、この課題の構築を進める。また、その一方で、神経可塑性特性に基づくトレーニング法の開発を行う。
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