研究課題/領域番号 |
23H03378
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
笹谷 拓也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70831163)
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研究分担者 |
川原 圭博 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80401248)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 無線給電 / センサ / プライバシー |
研究実績の概要 |
本年度は高度な計算処理を行う無線センサデバイスの実現に向けた、無線給電システムの電磁界分布の予測技術や、電力管理システムのテストベッドに用いる無線駆動デバイスの開発を含む、四つの研究項目に取り組んだ。 (1) 機械学習を用いて無線給電システムの電磁界分布を予測する技術の研究を行った。有限要素法等の電磁界解析は多大な計算資源と解析時間を要するが、本項目では少ない計算資源で高速に電磁界分布を予測することで、電磁界分布をインタラクティブに確認できるシステムの実現を目指す。そしてコイル構造や送受電コイルの位置が変化する中で、数%程度の精度で磁界強度が予測できることを、予備シミュレーションにより明らかにした。 (2) 電力管理技術の応用先として以前より検討している、神経活動の無線イメージング機器の開発に取り組んだ。そしてAPIの整備など、電力管理技術のテストベッドとして用いるための準備も進めている。本成果に関連して脳神経科学の主要国際会議であるSfN2023にて発表を行った。 (3) ウェアラブル機器内で電力やデータのやり取りを行うための、伝送線路結合器と磁界共振結合型無線給電コイルを併用した、大電力・高速通信向け小型無線コネクタを開発した。シミュレーションと実測により、10 mm大のコネクタで5 Gbpsの通信と10 Wの電力伝送が可能であることを明らかにした。本成果は2024年電子情報通信学会総合大会にて発表した。 (4) 無線給電の漏洩磁界を抑制するために、ハルバッハ配列に着想を得たコイル構造の開発を進めた。以前から解析で検討していた構造の実測を行い、漏洩磁界を増やすことなく数十倍以上の電力伝送が可能であることを示した。これらの結果をまとめた論文は無線技術分野で著名な論文誌であるIEEE Antennas and Wireless Propagation Lettersに採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
無線給電や電力管理システムのテストベッドとして用いる無線駆動デバイスの開発が順調に進んでいる。また開発した神経活動の無線イメージング機器自体が他分野にて大きな注目を集めていることや、機械学習を用いた電磁界分布の予測技術の開発が進んだことといった、当初予期していなかった成果も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
機械学習を用いた無線給電システムの電磁界分布の予測技術や、伝送線路結合器による大電力伝送・高速通信用の無線小型コネクタにについては、データ収集や解析、実験による評価を進め、主要国際論文誌における発表を目指す。また神経活動の無線イメージング機器をテストベッドとして用いて、電力分配システムの開発を進める他、イメージング機器自体のオープンソースでの公開や国際論文誌における発表を目指す。さらにプライバシーに配慮した低電力センシングの実現に向けて、プライバシー情報をフィルタリングするハードウェア技術の検討も開始する。
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