研究課題/領域番号 |
23H03432
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
長谷川 晶一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (10323833)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ハプティクス / バーチャルリアリティ / 器用な操作 / 把持 / 摩擦 |
研究実績の概要 |
本年度は、3自由度皮膚変形提示機構の試作、操作と干渉しない1指あたり1自由度の皮膚変形提示装置の試作を行った。 3自由度の提示では、コアレスモータのトルク制御により糸張力を制御し、複数糸をテフロンチューブに通すことで爪側から糸により張力が伝達できた。一方指腹部に3自由度の力提示を行うためには、抗力提示に必要な糸の向きを保ちつつ、皮膚変形に対応した変異を確保する機構を保持する機構が厚くなってしまい、装置同士の干渉が問題となった。 1自由度の装置は操作に干渉せずに、締め付け力と振動の提示を指腹部に行うことができることを確認した。カメラ画像に基づく手形状計測装置と物理エンジンを組み合わせることで、把持操作を行う際の接触や滑りによる振動の提示と、侵入量に応じた締め付け力を提示した。カメラ画像による手形状計測は手の向きにより誤差が大きくなる場合があり、操作の妨げになることがあった。今後他の計測手段と組み合わせるなどして解決し、1自由度の装置による提示の把持操作への効果を検証したい。 また、指先への提示だけでなく、手全体への外力提示を組み合わせることが必要になる可能性もあると考え、片手に3自由度の力覚提示が可能な自走式の小型軽量な力覚インタフェースを試作した。この装置をHMDバーチャルリアリティ環境に組み込み、壁やドアなどの運動拘束や物体の重量の提示を効果的に行うことができることを確認した。これらの成果は3つの国際会議で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3自由度多点への提示装置の機構には、アクチュエータを除いても提示部の機構にまだ工夫が必要であることが判明し、2024年度にも継続した研究が必要となった。 一方、1自由度の提示装置でも接触と摩擦の感覚を振動により提示できることがわかったので、器用な把持操作のための触覚情報の提示を両方の手法から探求できるようになった。 このため、当初の計画とは若干異なるが、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、今年度に作成した3自由度皮膚変形提示機構の構造を見直し、手指の操作と干渉しない提示装置を試作する。この機構を用いて、母指、示指、中指の指先に、それぞれに3点以上3自由度の皮膚変形を提示する装置を作成する。この段階では装着可能な装置とはせず、一つのチューブに複数糸を通すことで、卓上の駆動機構から手を経由して各指に配糸する機構を用いる。試作した装置を物理エンジンと接続して精密把持操作への効果を確認する。また、今年度に試作した小型で操作と干渉しない1指あたり1自由度の皮膚変形提示装置を用い、精密把持操作の操作性を比較する。
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