研究課題
揮発性有機化合物のチャンバー実験およびフロー反応実験を行い、実験で生成されるSOAをフィルターに捕集してSOA試料を提供した。チャンバー実験では、人為起源のVOCを前駆物質とするNOx光酸化実験および硝酸ラジカル反応実験を行った。フロー反応実験ではVOCを前駆物質とする高濃度光酸化実験を行い、生成するSOAの光化学エイジングを調べた。チャンバー実験およびフロー反応実験で生成されたSOAはフィルターに捕集され、SOA試料フィルターは分割されて分析担当者に分配された。年度の後半に名古屋市、長崎市、長崎県福江島においてPM2.5のフィルター捕集観測を行い、大気PM2.5試料を提供した。観測にはPM2.5インパクタ付のハイボリウムエアサンプラを用いてPM2.5をフィルター上に採取した。PM2.5試料フィルターは分割されて分析担当者に分配された。年度内に提供されたエアロゾル試料(SOA試料および大気PM2.5試料)について、誘導体化GCMS分析、LCMS分析、イオン移動度質量分析が開始された。フィルター試料に適宜内部標準物質が添加された。フィルター試料中の有機化合物は、有機溶媒中に抽出され適宜、ろ過、濃縮、誘導体化、転溶等の前処理を行って分析可能な液体試料とした。誘導体化GCMS分析によってカルボキシル基を有する有機物トレーサを分析し、LCMS分析によってカルボキシル基およびフェノールOH基を有する有機トレーサを分析した。イオン移動度質量分析計によって、未知トレーサの構造解析を行った。以前に名古屋市と長崎市で実施されたPM2.5中の有機トレーサ観測の期間に合わせた大気化学輸送モデル計算を実施した。
2: おおむね順調に進展している
本研究計画全体の進展にとって本年度特に重要であったのは、次年度本格的に化学分析を実施するために、計画していたチャンバー実験、流通容器実験、および名古屋、長崎、福江島におけるフィルター捕集観測を計画通りに実施して化学分析するための試料を採取する事であった。計画していた実験および観測は計画通りに実施されたため、研究は概ね順調に進展している。
引き続き、計画していた実験および観測を実施するとともに、今後は化学分析を本格的に開始する。また、化学分析の結果と比較するための大気モデル計算も実施する計画である。2024年度の計画は以下の通りである。揮発性有機化合物のチャンバー実験およびフロー反応実験を行い、実験で生成されるSOAをフィルターに捕集してSOA試料を提供する。チャンバー実験では、人為起源のVOCを前駆物質とするNOx光酸化実験および硝酸ラジカル反応実験を行う。フロー反応実験ではVOCを前駆物質とする高濃度光酸化実験を行い、生成するSOAの光化学エイジングを調べる。チャンバー実験およびフロー反応実験で生成されたSOAはフィルターに捕集され、SOA試料フィルターは分割されて分析担当者に分配される。名古屋市、長崎市、長崎県福江島においてPM2.5のフィルター捕集観測を行い、大気PM2.5試料とする。観測にはPM2.5インパクタ付のハイボリウムエアサンプラを用いてPM2.5をフィルター上に採取する。PM2.5試料フィルターは分割されて分析担当者に分配される。提供されたエアロゾル試料(SOA試料および大気PM2.5試料)について、誘導体化GCMS分析、LCMS分析、イオン移動度質量分析を実施する。フィルター試料に適宜内部標準物質が添加される。フィルター試料中の有機化合物は、有機溶媒中に抽出され適宜、ろ過、濃縮、誘導体化、転溶等の前処理を行って分析可能な液体試料とする。誘導体化GCMS分析によってヒドロキシ基を有する有機物トレーサを分析し、LCMS分析によってカルボキシル基およびフェノールOH基を有する有機トレーサを分析する。イオン移動度質量分析計によって、未知トレーサの構造解析を行う。名古屋市、長崎市、長崎県福江島で実施されたPM2.5観測の集中観測期間に合わせた大気化学輸送モデル計算を実施する。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
大気環境学会誌
巻: 59 ページ: A87~A96
10.11298/taiki.59.A87
Science of The Total Environment
巻: 904 ページ: 166034~166034
10.1016/j.scitotenv.2023.166034
https://www.nies.go.jp/subjects/2023/26476_fy2023.html