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2023 年度 実績報告書

細胞外小胞を介した白金ナノ粒子の血液精巣関門透過性と精子運動性低下機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23H03548
配分区分補助金
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

長野 一也  和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (40548301)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード白金ナノ粒子 / 血液精巣関門 / 精子 / 細胞外小胞
研究実績の概要

ナノマテリアルの細胞内取り込みについては、一般に、エンドサイトーシスにより取り込まれることが多く報告されている。そこで、マウス精巣セルトリ細胞株(TM4)を用い、4℃条件下で、白金ナノ粒子(nPt)のエネルギー依存的な取り込みを阻害した状態で、ICP-MSにより細胞中の白金量を測定した。その結果、いずれの粒子径(nPt5, nPt30, nPt70)においても、37℃条件下に比べ、4℃条件下での取り込み量が有意に減少し、いずれの粒子径のnPtもエネルギー依存的な経路で取り込まれることが示唆された。また、その詳細を評価するため、透過型電子顕微鏡(TEM)により定性的に解析した。その結果、いずれの粒子径のnPtもエンドソーム膜の内側にある様子が観察された。このことからnPtはエンドサイトーシスによって、TM4細胞に取り込まれることが示唆された。
エンドサイトーシスによって取り込まれた物質は、リソソームで分解される経路や、リサイクル経路などによって細胞内を移行することが知られている。一方で、サルモネラやナノダイヤモンドなど、取り込まれた外来異物は、エンドソームを破ることで細胞質へと脱出することも報告されている。そこで、エンドサイトーシスにより取り込まれたnPtが細胞内のどこに分布するかをTEMにより検証した。その結果、いずれの粒子径のnPtもリソソームやエンドソームのみらならず、エンドソームの外側の細胞質に局在する像が観察された。したがって、各種nPtもエンドソームを破ることで細胞質へと脱出していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した研究実施計画のうち、「エンドソーム膜が傷害をうけると集積するgal3に着目し、gal3-RFP蛍光蛋白質融合体を安定発現させたTM4細胞を利用することで、gal3が集積したドット数を計数して比較する」という解析ができなかったものの、TEMでエンドソーム内のnPt、細胞質内のnPtを検出でき、おおむね順調に進展しているため。

今後の研究の推進方策

エンドソーム膜が傷害をうけると集積するgal3に着目し、gal3-RFP蛍光蛋白質融合体を安定発現させたTM4細胞を利用することで、エンドソーム膜への傷害と細胞質への脱出能を評価することで、TEM像の確らしさを定量評価する。また、細胞質へと脱出したnPtの排出機構としてExtracellular Vesicles(EV)に着目し、nPtのEV排出機構への関与や、粒子径の違いによる影響を多方面から解析する。最終的に、nPtが血液精巣関門を透過し、精巣上体に移行するためには、精細管の外側(basolateral側)から管腔側(Apical側)へと移行する必要がある。そこでtranswellを用いて、細胞の極性を考慮したうえで、血液精巣関門の透過性をin vitroで評価する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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