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2023 年度 実績報告書

記憶する都市:ヨーロッパにおける場所とモノが語る「歴史」

研究課題

研究課題/領域番号 23H03625
配分区分補助金
研究機関国士舘大学

研究代表者

石野 裕子  国士舘大学, 文学部, 教授 (70418903)

研究分担者 小牧 幸代  高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (20303901)
森田 直子  上智大学, 文学部, 准教授 (30452064)
三代川 寛子  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (90614032)
藤田 祐  釧路公立大学, 経済学部, 教授 (90710830)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワードパブリックヒストリー / ヨーロッパ / 都市史 / 歴史認識 / ナショナリズム
研究実績の概要

本研究はヨーロッパ地域の都市史研究に「公共史」(パブリックヒストリー)の視角を加え、既存の研究を再考することを目的とする。今年度は(1)パブリックヒストリーの先行研究の整理・分析、(2)個別の研究の推進、(3)全体での個別研究の検証を行なった。
(1)「公共史」(パブリックヒストリー)そのものの視角を確認するために先行研究の整理、分析を行なった。各自研究を実施するだけではなく、パブリックヒストリー研究会及びパブリックヒストリーウェビナーの研究会等への参加を通じて最新の研究動向を追った。
(2)石野はフィンランドのヘルシンキ、ミッケリにて戦争博物館などの施設を訪問し、第二次世界大戦で失われた都市ヴィボルグの表象についての調査を実施した。小牧はノルウェーのオスロでパキスタン系ムスリム移民社会の冠婚葬祭に関する現地調査と資料収集を行なった。森田は共編著の中の「都市共同体の感情政治─19世紀プロイセンの市民と名誉市民─」で顕彰制度を介した都市の「記憶」のポリティックスの手がかりを示すことができた。三代川は文献調査を通じてコプト正教会におけるナショナリズムと歴史認識、教会史の書かれ方の変化について検証した。藤田はロンドンにて19世紀後半の科学振興について資料調査を行い、次の調査に向けて科学者の顕彰と科学博物館の増設に関する先行研究を検討した。
(3)zoomで9月、11月に全体で個別研究の検証会を行い、次年度の研究の方向性について確認を行なった。また、2024年1月20日にバルト=スカンディナヴィア研究会での小牧の研究発表「オスロの墓地政策と移民の葬儀慣行:パキスタン系ムスリムの事例を中心に」に参加し、本研究課題の検証を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

個別の研究状況は順調である。次年度は個別研究の検証を強化し、全体の議論につなげる予定である。

今後の研究の推進方策

令和6年度は個別研究をさらに進展させ、全体の議論につなげていく。個別研究に関しては各自文献調査に加え、海外調査を実施する。在外研究でヘルシンキ大学に在籍している石野は、フィンランド国内各地に点在している戦争博物館の調査を実施予定である。小牧は北欧諸国でのムスリム移民の冠婚葬祭とホスト社会の関係の調査を行うためにノルウェー、フィンランドでの調査、森田はドイツで1812年に設立された「ナッサウ古代史・歴史研究協会」の調査、三代川はエジプトでコプト正教徒における聖人崇敬の復興現象の調査を、藤田はオーストラリアにて科学者の顕彰にハクスリーが果たした役割について調査を実施予定である。また最新のパブリックヒストリー研究の知見を得るために、石野、小牧、藤田は9月に開催される国際パブリックヒストリー連盟(IFPF)のルクセンブルク大会に出席予定である。定期的にzoomで個別報告を行い、全体の議論を推進する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] テーマパークにおけるテーマ性のゆらぎとヴァナキュラーなもの:現代インドの事例を中心に2024

    • 著者名/発表者名
      小牧幸代
    • 雑誌名

      イスラーム世界研究(京都大学イスラーム地域研究センター)

      巻: 17 ページ: 134-144

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] フィンランドにおける対ソ戦争認識の変遷と現状―ウクライナ侵攻との関連で―2023

    • 著者名/発表者名
      石野裕子
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 1037 ページ: 42-47

  • [雑誌論文] スペンサーの進化社会理論と政治思想2023

    • 著者名/発表者名
      藤田祐
    • 雑誌名

      ハーディ研究

      巻: 49 ページ: 39-55

  • [学会発表] オスロの墓地政策と移民の葬儀慣行:パキスタン系ムスリムの事例を中心に2024

    • 著者名/発表者名
      小牧幸代
    • 学会等名
      バルト=スカンディナヴィア研究会1月例会、津田塾大学
  • [学会発表] フィンランド史研究と国際関係学―フィンランドにおける戦争の記憶とウクライナ戦争を事例に―2023

    • 著者名/発表者名
      石野裕子
    • 学会等名
      国際関係研究所研究懇談会、津田塾大学
    • 招待講演
  • [学会発表] フィンランドにおける冬戦争の位置付け:継続戦争との比較を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      石野裕子
    • 学会等名
      ロシア史研究会2023年度大会、九州大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 南アジア・イスラーム世界と聖遺物信仰」Sophia Open Research Weeks 2023「イスラームにおける聖性の継承:預言者・聖者の血統と聖遺物2023

    • 著者名/発表者名
      小牧幸代
    • 学会等名
      Sophia Open Research Weeks 2023「イスラームにおける聖性の継承:預言者・聖者の血統と聖遺物」第4回、オンデマンド
    • 招待講演
  • [図書] 『世界のクリスマス百科事典』三代川寛子「エジプト・アラブ共和国」(236-239)を分担執筆2023

    • 著者名/発表者名
      樺山紘一・中牧弘允編
    • 総ページ数
      390
    • 出版者
      丸善出版
  • [図書] 『感受性とジェンダー:〈共感〉の文化と近現代ヨーロッパ』森田直子「歴史学と文学のはざま?─感受性文学を手がかりに感情史を考える」(87-107)を分担執筆2023

    • 著者名/発表者名
      小川公代・吉野由利編
    • 総ページ数
      308
    • 出版者
      水声社
  • [図書] 『論点・ジェンダー史学』森田直子「決闘・名誉・「男らしさ」(112-123)を分担執筆2023

    • 著者名/発表者名
      山口みどり・弓削尚子他編
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2024-12-25  

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