研究課題/領域番号 |
23H03628
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
上田 知亮 東洋大学, 法学部, 准教授 (20402943)
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研究分担者 |
石坂 晋哉 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20525068)
板倉 和裕 奈良工業高等専門学校, 一般教科, 助教 (00809212)
木村 真希子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90468835)
小西 公大 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30609996)
白峰 彰子 津田塾大学, 学芸学部, 助教 (00981010)
鈴木 真弥 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (30725180)
間 永次郎 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (90868217)
舟橋 健太 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (90510488)
山本 達也 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70598656)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | SDGs(持続可能な開発目標) / インド / グローバル・アジェンダ / 州間比較 / 政策過程 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、SDGs(持続可能な開発目標)の到達度測定指標を決定する政府の課題設定権力に着目し、インドを事例として、①連邦政府と州政府における測定指標の決定要因、②予算など政策資源の配分とSDGs政策の関連を、インタビュー調査ならびに政府公式文書の分析を通じて検証し、SDGsに代表されるグローバル・アジェンダが、国内政治要因によって選択的に流用され、政権維持のために政治利用されているメカニズムを解明することである。 本研究の意義は、①従来のSDGs研究が看過してきた国内政策決定過程の分析を通して、インド以外の事例にも応用可能で汎用性の高い、グローバル・アジェンダの国内政治過程分析モデルを地域研究の観点から導出する、②SDGs政策という独自の視角から、連邦-州関係と州政治を中心に現代インド政治研究を深化させる、という2点にある。 こうした目的を達成するため本研究では、インド連邦政府の設定した測定基準が、州レベルでの政策過程にいかなる影響を及ぼしているのか、州間比較にまで踏み込んで検証する。具体的には、①インドの連邦政府および州政府は自らに有利な指標を設定している、②政策資源の配分が特定指標の関連分野に偏重している、という二つの仮説を立てたうえで、(A)インド政府の採用しているSDGs達成度の測定指標を他のアジア諸国のものと比較する、(B)指標や重点政策、予算配分を州間比較する、という国家レベルと州レベルの二つの次元で仮説検証作業を進めていく。 以上の研究課題を遂行するため、初年度にあたる2023年度はSDGsを始めとするグローバル・アジェンダに関する先行研究を渉猟するとともに資料の収集を進めた。さらにフィールドワークが可能なメンバーは現地で準備的調査を実施し、5年間の研究期間で調査・分析と研究成果の公開を計画的に進められるよう研究基盤を固めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、SDGs(持続可能な開発目標)の到達度を測定する指標を決定できる各国政府の政治権力に着目し 、①インド連邦政府ならびに州政府における測定指標の決定要因、②予算など政策資源の配分とSDGs政策の関連(とりわけSDGsランキング上昇を動機とする特定分野への選択と集中)、これら2点をインタビュー調査ならびに政府公式文書の分析を通じて検証し、SDGsに代表されるグローバル・アジェンダが、国内政治要因によって選択的に流用され、非民主的で強権的な政権運営を支えているメカニズムを解明するものである。 SDGsをめぐる国内政治過程に焦点を据えるこうした分析を通じて、インド以外の事例分析やSDGsを始めとするグローバル・アジェンダ研究にも応用可能な汎用性の高い分析モデルを提示することが最終的な目標である。 こうした目的を達成するため本研究では、インド連邦政府の設定した測定基準が、州レベルでの政策過程にいかなる影響を及ぼしているのか、州間比較にまで踏み込んで検証する。具体的には、①インドの連邦政府および州政府は自らに有利な指標を設定している、②政策資源の配分が特定指標の関連分野に偏重している、という二つの仮説を、国家レベルと州レベルの二つの次元で検証する。 こうした研究課題を遂行するため初年度にあたる2023年度は、SDGsを始めとするグローバル・アジェンダに関する先行研究を渉猟して最新の研究状況の把握に努めるとともに、公的資料の収集・分析を進めることができた。それと同時に、次年度以降に本格的にフィールドワークを行うための準備的作業を実施した。 これらの作業により、今後4年間の事業期間内に研究課題を効率的に遂行する準備をおおむね順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、SDGs(持続可能な開発目標)達成度を測定する指標を各国政府が任意に決定できるという政治権力の側面を軽視しがちな先行研究の瑕疵を埋めるべく、①インド連邦政府ならびに州政府が政権維持に有利なかたちで測定指標を設定していないか検討する、②予算を始めとする政策資源が特定指標の関連分野に偏って配分されていないか検証する、という二点の分析を通じて、SDGsに代表されるグローバルな開発・ 環境目標が、国家レベルにおける実施段階で政治的に取捨選択され、政権を正当化する方便として恣意的に利用されている実態を解明することを目指している。 こうした研究課題を遂行するため、SDGsを始めとするグローバル・アジェンダに関する先行研究の渉猟やインド政府および州政府の公的文書の収集・分析を継続的に行うとともに、共同研究メンバー各自が担当する事例に関してフィールド調査を実施する。それに加えて、インドと国際比較すべき事例が見つかれば積極的に研究・調査を進める。それと同時に、研究スケジュールや分析手法、資料状況などについて情報を共有するため、研究会を適宜開催する予定である。3年目(2025年度)からは国内外の研究者からフィードバックを得るため学会報告を行うことを視野に入れ、さらに4年目(2026年度)からは論文集を出版することを目指して、研究成果の公開に取り組む。
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