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2023 年度 実績報告書

内受容信号のゆらぎによる行動の多様性の創発メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23H03705
配分区分補助金
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

木村 健太  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (40589272)

研究分担者 片平 健太郎  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60569218)
金山 範明  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90719543)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード内受容感覚 / 意思決定 / 脳波 / 計算論モデル / 個人内変動
研究実績の概要

本研究の目的は、身体内部状態から脳に送られる内受容信号のゆらぎが意思決定に個人内変動を生じる認知神経科学的メカニズムと計算論的プロセスを明らかにすることである。2023年度の研究では、内受容信号による意思決定の変調がどのような認知神経科学的メカニズムに起因するのかを検討するための実験系を確立することを目的とした。このため、リスクに関わる意思決定課題を用い、選択肢の呈示タイミングを心臓の収縮期か拡張期に同期するよう操作するとともに、選択までの時間圧や報酬の随伴性の有無、意思決定のフレーム(獲得・損失フレーム)といった実験課題パラメータを操作する一連の実験を実施した。その結果、これらの実験課題パラメータにより心臓に起因する内受容信号が意思決定に及ぼす影響が調節されることが分かった。具体的には、時間圧の高い状況下では心臓の収縮期に選択肢を呈示した際によりリスク選好が高まる一方、時間圧の低い状況下では心臓の収縮期に選択肢を呈示した際によりリスク選好が低まることが明らかになった。また、意思決定のフレームにおいて、特に意思決定が獲得フレームの際にこのような傾向が強くなることが分かった。また、これらの心臓に起因する内受容信号の影響は、報酬の随伴しない状況下では観察されなかった。これらの一連の実験結果より、心臓に起因する内受容信号が意思決定に及ぼす影響は文脈に依存することが分かるとともに、次年度以降に実施する研究における基盤的な実験系の課題パラメータを把握することができた。加えて、意思決定課題時の脳波計測を実施するため、実験環境におけるノイズレベルなどを定量化し、ノイズの発生源を同定・機材変更することで脳波を含めた生体計測系の環境の構築を完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の研究では、当初予定していた実験系の確立は達成できた。一方、脳波計測のための実験系構築に遅延が生じたことで、脳波を含めた検討までは実施できなかった。このため、当初予定していた以上に実験課題パラメータを操作する実験を実施し、まずは実験系の確立を優先するようにして研究期間全体での進行に遅延が生じないよう工夫した。このため、当初の研究計画と比べて、概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、研究計画で予定しているとおり、心臓及び他の器官に起因する内受容信号が意思決定に及ぼす影響を脳波等の計測を含めて研究する。具体的には、心電図及び胃電図を使用した刺激提示の制御システムを構築し、これを2023年度で構築した実験系において活用するとともに、行動の背後の認知神経科学的メカニズムを明らかにするために脳波の計測も実施する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 意思決定の時間圧は心臓内受容信号によるリスク選好の上昇を調節する2023

    • 著者名/発表者名
      木村 健太、片平 健太郎
    • 学会等名
      第41回日本生理 心理学会
  • [学会発表] Introduction of "Affective Science" and "Emotion Studies"2023

    • 著者名/発表者名
      木村 健太
    • 学会等名
      The 37th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence
  • [学会発表] 内受容感覚を対象とした研究の方法論と今後の展望2023

    • 著者名/発表者名
      木村 健太
    • 学会等名
      2023年度日本基礎心理学会第1回フォーラム
  • [学会発表] 内受容感覚により生じる心理と行動の“ゆらぎ”2023

    • 著者名/発表者名
      木村 健太
    • 学会等名
      第76回日本自律神経学会総会
    • 招待講演
  • [図書] 第12章 情動の生物学的基盤――脳と身体の相互作用の視点から(柿並・難波(編)「情動」論への招待: 感情と情動のフロンティア )2024

    • 著者名/発表者名
      木村健太
    • 総ページ数
      292
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      4326103310

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公開日: 2024-12-25  

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