研究課題/領域番号 |
23H03712
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
越山 顕一朗 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (80467513)
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研究分担者 |
世良 俊博 東京理科大学, 先進工学部機能デザイン工学科, 教授 (40373526)
伊井 仁志 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (50513016)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 肺微細構造モデリング / 肺発達 / 力学解析 |
研究実績の概要 |
本研究は,小児肺微小構造における力学現象を,周産期の肺の成熟に伴う形態変化と力学場の関係という観点から解明することにより,小児肺バイオメカニクス研究を進展させ,肺発生研究や新生児肺治療の基盤形成を目指すものである.本年度は,計画1)大規模放射光施設Spring8において,日齢の異なるマウス肺の放射光X線CT撮影,計画2)マルチ肺胞の発達モデルの構築および力学解析,計画3)細胞分化を考慮した肺胞上皮組織の数理モデル開発,計画4)データ同化に向けたばねモデルによる肺細葉組織力学解析コードの開発に取り組んだ.計画1では,異なる呼気状態を再現するためベンチレータを用いた制御系をSpring8で構築し,撮影条件を検討した.撮影された画像から肺微細構造のセグメンテーションに成功し,発達とともに肺胞隔壁が成長していく状況を定量的に示すことができた.計画2では,小嚢が肺胞隔壁が成長することで分画され2つの肺胞が生じる過程をモデル化し,そのモデルを用いて有限要素解析を行った.これより肺胞隔壁の成長は肺胞表面積を増加させる一方で,圧力負荷による肺胞体積増加に対しては影響が小さいことが示唆された.計画3では,肺胞上皮前駆細胞からI型およびII型肺胞上皮細胞への分化する過程に対してマトリックスの剛性を取り入れた1次元モデルを開発できた.計画4では,2次元の肺微細構造のモデルに対して内圧負荷による力学変形を解析できるコードが開発した.これにより,肺微細構造の違いが変形時に及ぼす影響を検討できる状況が構築できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射光X線マイクロCTによるマウス仔肺の撮影実験装置開発およびセグメンテーション手法の改良,および数理モデル,力学解析コードの開発が計画通り順調に推移しているため.
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今後の研究の推進方策 |
0日齢のマウスを扱う実験に技術的な困難さがありサンプル数が十分でなかったため,Spring8における動物実験担当者と打ち合わせを図ることで改善する.また,セグメンテーション技法に関しても画像処理で技術的に難しい部分があるため,肺微小構造セグメンテーション専門家であるXiao博士に打ち合わせと相談し改善する.
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