研究課題/領域番号 |
23H03719
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
真栄城 正寿 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40744248)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脂質ナノ粒子 / ポリカチオン / ハイブリッドナノ粒子 / 長鎖プラスミドDNA / 遺伝子導入 / マイクロ流体デバイス |
研究実績の概要 |
siRNAやmRNAなどの短鎖の核酸送達技術は、創薬・医薬分野にパラダイムシフトを起こしつつある。これらの核酸は脂質ナノ粒子に搭載されており、高い細胞導入効率を示している。一方で、10 kbp以上の長鎖核酸の細胞への効率的な導入は未だに困難である。そこで本研究では、脂質ナノ粒子を用いて、10 kbp以上のプラスミドDNAを細胞に効率的に導入、機能発現させるための重要因子の解明に取り組む。本年度は、①長鎖プラスミドDNAの細胞への導入に適した粒子物性および構造の解明、②新規ポリカチオンの合成に取り組んだ。 ①まず、一般的な脂質ナノ粒子による15 kbpの長鎖プラスミドDNA(GFPを発現)を細胞への導入効率を評価した。その結果、mRNAワクチンに用いられている脂質ナノ粒子を用いても、10%以下のトランスフェクション効率であった。そこで、長鎖プラスミドDNAとポリカチオンによる複合体を脂質ナノ粒子に搭載する脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子による細胞導入を着想した。様々なポリカチオンを検討した結果、ポリエチレンイミンと長鎖プラスミドDNAの複合体を脂質ナノ粒子に搭載した場合に、トランスフェクション効率が向上することを見出した。そこで、ポリエチレンイミンの構造や分子量が、トランスフェクション効率に与える影響を調査した。その結果、分子量が10000で、分岐構造のポリエチレンイミンが、最もトランスフェクション効率が良いことを見出した。また、作製した粒子の粒径や内部構造を動的光散乱法および小角X線散乱法によって測定し、長鎖プラスミドDNAの細胞への導入に最適な粒子物性を見出した。 ②ポリエチレンイミンの構造をもとに、新規なポリカチオンの合成に取り組んだ。数種類のポリカチオンの合成に成功および構造を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長鎖プラスミドDNAの細胞への導入に適したポリカチオンを見出しており、当初の計画通りに進展している。また、新規ポリカチオンの合成方法も確立しているため、概ね順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに、粒子の物性および構造と細胞導入効率の関係を献奏する。作製したハイブリッドナノ粒子の遺伝子導入過程を明らかにする。また、新規ポリカチオンライブラリーを構築し、長鎖プラスミドDNAの細胞への導入効率の向上に取り組む。
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