研究課題/領域番号 |
23H03749
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
草森 浩輔 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 准教授 (90707407)
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研究分担者 |
西川 元也 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40273437)
樋上 賀一 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (90253640)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 間葉系幹細胞 / 細胞医薬 / ミトコンドリア導入技術 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究は、間葉系幹細胞による有効性の高い疾患治療法の開発を目的に、細胞内への効率的なミトコンドリア導入技術を用いてミトコンドリアを豊富に含む間葉系幹細胞を作製し、その細胞医薬としての有用性を実証しようとするものである。2023年度は、ミトコンドリアを豊富に含む間葉系幹細胞の作製と最適化を試みた。ミトコンドリアを導入する細胞には、マウス間葉系幹細胞株C3H10T1/2細胞や初代ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)、ヒトiPS細胞由来間葉系幹細胞(iPS-MSC)を選択し、ミトコンドリアはC3H10T1/2細胞またはADSCから回収した。研究代表者の開発したミトコンドリア導入技術を用いて各種細胞にミトコンドリアを導入したところ、いずれの細胞にもミトコンドリアを効率的に導入することが可能であった。次に、ミトコンドリアを豊富に含む各種細胞の機能を評価したところ、細胞内ATP活性や増殖性などが顕著に増大し、過酸化水素を添加した条件においても高い生存率を維持した。さらに、ミトコンドリアを豊富に含むC3H10T1/2細胞を、温度応答性細胞シート作製用ディッシュに播種して培養したところ、ミトコンドリアの数を維持したまま細胞シートを作製することが可能であった。これらの結果から、研究代表者の開発したミトコンドリア導入技術を用いることで、ミトコンドリア導入間葉系幹細胞またはミトコンドリア導入間葉系幹細胞シートを作製することが可能であり、ミトコンドリアを導入した細胞の機能は高いことが示された。本研究に関わる成果は、日本薬学会第144年会などの複数の学会において発表し、関係する内容の一部をStem Cell Research & Therapy誌に公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に目標としていた間葉系幹細胞へのミトコンドリア導入および機能評価に成功し、細胞シートの開発にも成功した。これらの結果から、進捗状況はおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、ミトコンドリアを豊富に含む間葉系幹細胞の機能評価およびミトコンドリアを豊富に含む間葉系幹細胞のミトコンドリア輸送を実施する。ミトコンドリアを豊富に含む間葉系幹細胞の機能評価はこれまでに一部実施しており、2024年度は特に、サイトカイン産生能や継代回数の延長、細胞老化について詳細に検討する。また、ミトコンドリアを豊富に含む間葉系幹細胞のミトコンドリア輸送の評価を目的に、MitoTracker染色ミトコンドリア導入ADSCまたはiPS-MSCと初代ヒト心筋細胞を共培養し、ADSCまたはiPS-MSCから心筋細胞へミトコンドリアが移行するかを評価する。さらに、ミトコンドリアが輸送された心筋細胞の増殖性を評価するとともに、ADSCまたはiPS-MSC内のミトコンドリア量に依存して、心筋細胞にミトコンドリアが輸送されるかを評価する。さらに、過酸化水素や低栄養培地で培養した心筋細胞とミトコンドリア導入ADSCまたはiPS-MSCを共培養し、生存率や増殖性を指標に、心筋細胞機能の回復を評価する。
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