研究課題/領域番号 |
23H03761
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
山田 篤史 滋賀医科大学, 創発的研究センター, 特任准教授 (40534334)
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研究分担者 |
仲 成幸 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10359771)
谷 徹 滋賀医科大学, 医学部, 特別教授 (20179823)
稲富 理 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (70530351)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 交差配線 / 配線補助具 / マイクロ波 / 反射波 / 軟性医療機器 |
研究実績の概要 |
本年度は,エンドエフェクタ技術,マニピュレーション技術,センシング技術のうち,マニピュレーション技術について特に順調に進めることができた.
マニピュレーション技術については,提案しているワイヤ交差部品の力学的効果を調べるために,静力学モデルを構築した.その結果,ワイヤ交差部品の幾何学パラメータおよびワイヤリングの力学効果を明確化できた.この力学モデルは,free-body diagramの力学的境界条件を用いることで,非直線型配線の効果を単純だがわかりやすく説明することができている.このモデルは,従来の長尺構造体の連続体の静力学モデルに,提案するユニークなワイヤ交差部品を剛体のfree-body-diagram要素として加えるだけのシンプルな構造を採用している.そのため,従来のモデルの拡張として学術的にもわかりやすい表現になっていると考えている.また,摩擦要素も含めているため,提案要素の効果を見積もるには有用であると期待している.構築した静力学モデルを用いた数値シミュレーションにより,ワイヤ牽引力に対する利点を確認することができた.ワイヤ交差部品を試作し,それを用いた軟性構造体を組み立て,ロボットマニピュレータにより性能評価をおこなった.また,試作部品を用いて軟性医療機器を模倣したマニュアルコントロール型の試作機を構築し,ファントムテストをおこなった.エンドエフェクタ技術については,数値シミュレーションモデルの構築を進めた.センシング技術については,カスタム装置を用いたデータ取得をおこなった.今年度は成果発表として,関連する論文1件,国際会議発表2件,国内会議発表3件(招待講演1件を含む)をおこなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画はおおむね順調に推移している.本研究では,マイクロ波によるシーリング能力を最大化するエンドエフェクタ技術,長尺の軟性構造体の先端部をワイヤ駆動により可動屈曲させる準非干渉駆動を基盤とするマニピュレーション技術,反射波を利用したセンシング技術の3つの要素をそれぞれ開発し,それらを統合する.初年度は,研究開発工数が多いが,オリジナリティが高く,産業応用性が高いマニピュレーション技術にやや注力したが,その分結果が伴い,学術的な進捗がみられた.この成果は現在論文執筆中である.エンドエフェクタ技術については,試作が遅れているが,動物の臓器や血管を用いた加熱実験や軟性長尺体に対する伝送実験の観察をおこなうことで,構造的な問題点の洗い出しを進めることができた.現在は,問題点を解決する設計に注力している.センシング技術については,ターゲットサイズより大きい試作機を用いた実験をおこない,先端部の機械的な操作と反射波の関係を調査している.そのため,個々の技術の研究開発に差はあれど,全体としておおむね予定どおり推移していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画はおおむね順調に推移しているため,今後も基本的には研究計画調書をベースに研究を進めていく.それぞれの技術について有用な結果も出始めている.それらの結果を論文にまとめながらも,試作機の開発・評価を遅延なく進めるために,当初の予定よりも試作回数を減らす予定である.本年度よりも研究活動が密になることが予想されるため,毎月の進捗報告書をまとめて,研究活動が停滞しないように注意する.
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