研究課題/領域番号 |
23KF0037
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
宮武 健治 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50277761)
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研究分担者 |
WONG CHUN YIK 山梨大学, 大学院総合研究部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | プロトン伝導膜 / リン酸ドープ |
研究実績の概要 |
芳香族高分子マトリックスとしてポリベンズイミダゾール(PBI)やアンモニウム基含有部分フッ素化高分子(QPAF-4)を合成し、構造解析を行った。また、これら高分子にリン酸ドープを行い、薄膜を得ることに成功した。120℃においてこれら薄膜のプロトン導電率を測定したところ、低湿度(20%RH)においても100mS/cmを超える値が得られた。特にQPAF-4/リン酸ドープ複合膜はリン酸ドープ量を高くすることが可能であり、より高いプロトン導電率を示すことが明らかになった。120℃において湿度サイクルを行ったところ、20%~40%RHの湿度範囲ではプロトン導電率に大きな変化は認められず優れた安定性が確認できた。他方、複合膜を液体水で処理するとリン酸の脱ドープが起こりプロトン導電率が低下することが分かった。そこでリン酸の脱ドープを抑制するためにより、リン酸との親和性の高いことが期待できる共有結合性有機構造体(covalent organic framework: COF)を添加した複合膜への展開を進めた。現在、スルホン酸化したCOFの合成と複合化が順調に進んでいる。特に、化学的安定性の向上に向けて酸化分解が起こりやすいエーテル結合を含まない新規スルホン酸化COFの合成も行った。有機溶媒に対する溶解性も優れているため、QPAF-4との複合化及び物性評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リン酸ドープ電解質膜の合成と物性評価が計画通りに進んだため、
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は前年度に予備的に構造をチューニングしたリン酸ドープイオン液体複合膜の最適化と、高温プロトン導電率測定、燃料電池発電試験を行う。高温燃料電池発電試験は受け入れ研究者が保有する装置で可能だが、共同研究先である産業界での評価も行う計画である。具体的な研究項目は、1)リン酸ドープイオン液体複合膜の最適な組み合わせと製膜方法の確立、2)複合膜の高温におけるプロトン導電率及びその湿度依存性の評価、3)複合膜の高温安定性と酸化安定性の評価と従来電解質膜との比較、4)高温低湿度における燃料電池発電試験と各種加速耐久性試験、である。得られた成果は国内外の関連学会で口頭発表を行うと共に、学術論文として国際学術雑誌にも投稿し積極的に外部へ情報発信する。
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