研究課題/領域番号 |
23KF0057
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸三 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80634435)
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研究分担者 |
HOSSAIN ANWAR 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | 薬剤耐性菌 / バングラデシュ / 養殖 |
研究実績の概要 |
バングラデシュの養殖業では、病気治療と成長促進のために様々なクラスの抗生物質が使用されている。これにより、抗生物質耐性細菌(ARB)と抗生物質耐性遺伝子(ARGs)が養殖環境および自然水域において選択圧を加速する懸念が高まっている。この研究では、バングラデシュのさまざまな地域からティラピアとエビの養殖サンプルを収集し、DNAシーケンシング、ARBの特定、ARGの検出、および高度酸化プロセスによる抗生物質の除去が行われた。
研究結果によると、養殖エビのバクテリアコミュニティの分析で最も多かったのはプロテオバクテリア(47%)とフィルミクーテス(44.32%)で、特に池のポリカルチャーサンプルではプロテオバクテリアが61.08%、フィルミクーテスが23.73%で支配的であった。耐性細菌に関しては、29株が水、底質、魚類、エビから分離され、これらに対して16種類の抗生物質に対する感受性試験が施された。特に魚類の養殖水サンプルでは高い耐性率が確認され(60%)、これは貝類の養殖水の43%よりも高かった。
また、ティラピアとエビの養殖で、総計19のAMR遺伝子が選択され、そのうちの5つ(sul1、cat、tetA、dfrA1、mecA)がティラピアの腸内で、さらに9つの遺伝子がエビの養殖環境内で検出された。抗生物質の除去においては、オゾン/過酸化水素プロセス(O3/H2O2)およびオゾネーション(O3)を含む高度酸化プロセスが試みられ、実際の廃水および超純水での実験で対象抗生物質の99%以上が30分以内に分解される結果が得られた。この結果は、高度酸化処理が抗生物質除去に有効であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ティラピアとエビのDNAシーケンシング、ARBの特定、ARGの検出、および高度酸化プロセスによる抗生物質の除去に関して当初計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ティラピアとエビのDNAシーケンシング、ARBの特定、ARGの検出、および高度酸化プロセスによる抗生物質の除去に関して研究計画を完了し、5本以上の論文として出版する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の遺伝子解析の委託解析費が高くなる予定だったため、計画的に次年度に予算を確保しておくことにした。
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