研究課題/領域番号 |
23KF0114
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
入谷 寛 京都大学, 理学研究科, 教授 (20448400)
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研究分担者 |
WANG ZHE 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-07-26 – 2026-03-31
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キーワード | 可積分系 / グロモフ・ウィッテン不変量 / 可積分階層 / 双ハミルトン構造 / 量子化 / Dubrovin-Zhang階層 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はグロモフ・ウィッテン型理論における古典および量子可積分階層の構造を明らかにすることである.特に高種数のグロモフ・ウィッテン不変量を統制する理論であるDubrovin-Zhang理論とGiventalの量子化の理論との関係を明らかにすることを目標としている.今年度はDubrovin-Zhang理論・Givental理論の基礎事項を理解するため,連続で研究セミナーを開催した.そのセミナーにおいて,研究代表者はGivental理論に現れる無限次元のラグランジアン多様体である「Givental錘」の基礎事項を解説し,シンプレクティック簡約の量子コホモロジーを記述するTelemanの予想についての解説を行った.また研究分担者のWang氏はDubrovin-Zhang理論の基礎事項と,variational bihamiltonian cohomology の理論を用いた多項式予想の解決について解説を行った. 研究分担者のWang氏はSi-Qi Liu氏, Youjin Zhang 氏と共同で線形互換変換(linear reciprocal transformation)の双ハミルトン性を研究した.線形互換変換は時間変数と空間変数を交換する変換である.これは気体力学の研究に端を発し,異なる可積分系間の関係を研究するための重要な道具である.線形互換変換の研究の中で,その(双)ハミルトン性は特に重要であり,20年以上にわたって研究されている.この研究では線形互換変換の下での,半単純な主要項を持つ双ハミルトン構造の分類を行い,その完全な不変量を記述することに成功した.またWang氏は流体力学型のハミルトン可積分階層の量子化についても研究を進め,頂点作用素代数を用いた組み合わせ論的な量子化の処方箋を与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究セミナー活動を通じて,グロモフ・ウィッテン理論における可積分構造を記述する,Dubrovin-Zhang理論およびGivental理論に対する理解が深まった.研究代表者は同変量子コホモロジーの同変シフト作用素についての研究が進み,研究分担者Wang氏は(双)ハミルトン構造やその量子化について精力的に研究を進め,大きな成果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
Dubrovin-Zhangの可積分階層の理論とGiventalの量子化の理論の間の関係を引き続き詳しく調べていく.また同変グロモフ・ウィッテン理論における可積分階層の構造をシフト作用素の与える差分構造を手掛かりにして調べる.また量子K理論や,可積分階層の量子化についても研究を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究成果発表のため旅費のみを使用したため次年度使用額が生じた.来年度は研究成果発表のための旅費だけではなく,物品費や招へい旅費にも使う予定である.
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