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2023 年度 実施状況報告書

イネ胚乳におけるデンプン粒のサイズや形の決定に関わる分子要因

研究課題

研究課題/領域番号 23KF0207
研究機関東京大学

研究代表者

青木 直大  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70466811)

研究分担者 TABASSUM REHENUMA  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2023-11-15 – 2026-03-31
キーワードデンプン粒 / イネ / 胚乳 / 子実サイズ / アミロース含量 / タンパク質含量
研究実績の概要

コメに含まれる水分以外の物質のうち約90%はデンプンであり、7~8%はタンパク質である。そのため、デンプンやタンパク質の生合成および蓄積は米粒の大きさと重量、ひいては米の収量や品質を左右する重要な代謝過程である。しかしながら、デンプン粒や貯蔵タンパク質の蓄積機構およびその環境応答には未だ不明な点が多い。当研究室は、子実中のデンプン粒の大きさや形に関するイネの変異体や品種を多数保有している。これらを供試材料として本研究では、(1)イネの子実の大きさと胚乳中に蓄積するデンプン粒の大きさとの関連性を明らかにする。(2) 受精後のイネ子実の胚乳に蓄積するデンプン粒の大きさと形状の決定機構、および貯蔵タンパク質の蓄積機構における液胞型インベルターゼの生理的・代謝的役割を明らかにする。(3)イネ胚乳におけるデンプン粒およびタンパク質の蓄積に関わる分子要因とその環境応答を明らかにする。
2023年度は、子実のサイズが異なるイネ系統を用いて、子実のサイズ(長さ、幅、厚さ)、胚乳に蓄積するデンプン粒の大きさおよびアミロース含量を測定し、系統間で比較した。水稲品種「日本晴」の液胞型インベルターゼ遺伝子機能欠損変異体(inv3)は、野生型に比べて子実サイズが小さくなる。このinv3変異体および野生型の子実からデンプン粒を精製し、デンプン粒のサイズを走査型電子顕微鏡を用いて測定したところ、野生型に比べてinv3変異体では胚乳デンプンのサイズが小さく、アミロース含量が低かった。また、子実サイズが異なる10品種について胚乳デンプンのアミロース含量を比較したところ、子実の長さおよび幅とアミロース含量との間に有意な正の相関が認められた。以上の結果から、子実のサイズとデンプン粒の大きさやアミロース含量との間に関係性があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

子実のサイズが異なるイネ品種・系統から胚乳デンプンを精製し、走査型電子顕微鏡を用いてデンプン粒のサイズを測定する一連の手順が確立した。また、デンプン粒のみならず、胚乳細胞やアミロプラストのサイズを測定することも可能になった。これらサイズに関わるパラメータとアミロース含量との間に一定の関連性が認められたことは大きな成果である。これらのことから、本研究はおおむね当初計画どおりに進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

今後は、初年度と同様の実験・解析を進め、供試系統の胚乳デンプン粒の形状・性状を明らかにするとともに、子実(玄米)のサイズ・形状と胚乳中に蓄積するデンプン粒のサイズ(形状)との間の関連性を検討する。また、胚乳デンプン粒の大きさと形状の決定機構における液胞型インベルターゼの生理的・代謝的役割を明らかにする。得られた解析結果は日本作物学会講演会で発表するとともに、英文原著論文として公表する。

次年度使用額が生じた理由

2024年度末に購入した試薬や消耗品の一部が年度内に納品されなかったため、少額の繰越金が生じた。2024年4月に納品されたため、2024年度の助成金と合わせて執行する。

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公開日: 2024-12-25  

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