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2023 年度 実施状況報告書

真骨魚類における脳下垂体ホルモンによる浸透圧調節機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23KF0212
研究機関東京大学

研究代表者

神田 真司  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50634284)

研究分担者 ROYAN MUHAMMAD  東京大学, 大気海洋研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2023-11-15 – 2026-03-31
キーワードイソトシン / パッチクランプ / 浸透圧 / 脳下垂体 / 視床下部
研究実績の概要

本年度は五ヶ月間であったので、研究手技の取得や実験装置のセットアップから開始し、予備実験を行った。イソトシンGFPメダカ、バソトシンGFPメダカを用いて、パッチクランプ法による発火活動の解析を行い、自発的な発火活動の記録ができるようになった。本手法に関しては手技を学びながら記録をできるようになってきており、順調に進んでいる。今後、浸透圧変化に対する発火活動の解析を行える準備が整った。また、メダカの卵へのマイクロインジェクションも開始し、プロラクチンのKO個体を作成する過程も概ね順調に進んでいる。プロラクチンにはパラログ遺伝子が2つ存在し、脳下垂体に発現するパラログのノックアウトはF0個体であるが、作成できた。これを継代し、ホモ化することで解析できる個体を作成する。もうひとつのサブタイプ(prolactin2)に関しても、濃度等の調整、あるいはCRISPRの再設計によって切断可能であると考えられるため、次年度の初期に作成することができる。その他の凍結精子として保管していた遺伝子組み換えメダカも、人工授精を行った。現在それらの子孫を得ることで、使用できる状況を整えている。
さらに、イソトシン・プロラクチン関連のすでに存在する各種ノックアウトやトランスジェニックメダカを交配、ジェノタイピングすることにより、それぞれの相互関係を解析する実験を開始している。また、すでに習得している形態学的解析手法を応用し、浸透圧の変化で細胞数などに生じる変化に関しても、形態学的な方法を用いて解析を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたリソースの準備を、この五ヶ月間でほぼ整えることができつつある。イソトシンにGFPを発現するメダカを、凍結精子ストックから人工授精するところから開始し、無事に継代することができるようになった。この魚を用い、ルースセル法により、イソトシンニューロンの自発的な発火活動の記録を得られるようになった。今後、さまざまな条件に馴致した魚でのイソトシンニューロンの発火活動をまずは解析するために、魚の準備を進めている。イソトシン遺伝子を欠失したメダカに関しても、凍結精子より人工授精を済ませており、このメダカを継代し、個体数を増やしはじめている。また、プロラクチンノックアウトに関しては、CRISPRを用いて受精卵で遺伝子破壊を試みたところ、プロラクチン1についてF0のモザイク状のノックアウト個体が得られている。現在、これを交配し、フレームシフト変異を含む遺伝子座を選抜していっているところである。プロラクチン2に関しては、うまく切断が行われていない可能性が考えられ、改善の必要がある。プロラクチンGCaMPメダカを用いてのCa2+イメージング実験も開始している。現在まで、各種神経ペプチドをアプライしたが、特にプロラクチン細胞を刺激する分子は見つけられていないが、どのような入力が考えられるか、受容体遺伝子発現を解析するなど、新しいアプローチによる候補の探索も含め、検討している。以上の状況より、概ね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

パッチクランプ解析を行う目処が立ったので、イソトシンGFPトランスジェニックメダカの繁殖により個体数を増やし、これから様々な浸透圧に馴致したメダカを用意し、その発火活動を解析していく。現状、膜電位変化を詳細に解析する必要性はないので、ルースセル法によって発火頻度を解析していく。今後、特定のイオンチャネルの発現などが鍵になっているヒントが得られた場合は、ホールセルモードで膜電位固定法を行い、チャネルの解析も視野に入れる。
ノックアウト作成に関しては、プロラクチン1に関しては、フレームシフト変異を含む個体を選抜する準備が整っている。その一方で、プロラクチン2に関しては、F0でノックアウトがみられなかった。脳下垂体での発現が強くないため、本遺伝子は直接的な浸透圧調節に関する解析のプライオリティは落ちるものの、プロラクチン1喪失時の補償的機能を担う可能性もあるため、新しいCRISPRを設計し、引き続きノックアウトを作製していく。完成した暁には、プロラクチン1のノックアウト個体と交配し、プロラクチン1,2ダブルノックアウト個体を作成する。これらプロラクチンノックアウトや、イソトシンノックアウト個体の腎臓、鰓、腸でのRNAseq解析を行い、各種ホルモン、イオンチャネル、トランスポーター等の解析を行う。また、プロラクチン細胞に入力する視床下部性の因子の候補を検討するために、プロラクチン細胞特異的なRNAseqを行って受容体を同定する手法も視野に入れ、イメージング実験とあわせて入力について解析を進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Long-lasting redundant gnrh1/3 expression in GnRH neurons enabled apparent switching of paralog usage during evolution2024

    • 著者名/発表者名
      Fujimori Chika、Sugimoto Kohei、Ishida Mio、Yang Christopher、Kayo Daichi、Tomihara Soma、Sano Kaori、Akazome Yasuhisa、Oka Yoshitaka、Kanda Shinji
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 27 ページ: 109304~109304

    • DOI

      10.1016/j.isci.2024.109304

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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