研究課題/領域番号 |
23KF0221
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
道信 剛志 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (80421410)
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研究分担者 |
ZHAO KEXIANG 東京工業大学, 物質理工学院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-11-15 – 2026-03-31
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キーワード | 芳香環 / 有機半導体 / ホウ素-窒素結合 |
研究実績の概要 |
正孔を輸送するp型半導体高分子は数多く存在するが、電子輸送性のn型半導体高分子の報告例は限られている。本研究では、B-N共有結合を特徴とするBN含有多環芳香族炭化水素を電子受容ユニットとして用いて、全く新しいn型半導体高分子を合成し、その電子輸送特性を評価することを目的とした。BN含有多環芳香族炭化水素の合成やその官能基化は一般的に難易度が高いが、過去の知見によって重合用モノマーを合成できることが分かっている。フロンティア軌道準位が深いモノマーと共重合することで正孔輸送を抑制したn型半導体高分子を得た後、さらに、得られた高分子の結晶性や基板上での配向を評価して、トランジスタや太陽電池などに適した構造を明らかにすることを目的とした。まず、BN含有多環芳香族炭化水素の最初の例としてBN含有ナフタレンジイミド(BN-NDI)骨格の合成に取り組んだ。前駆体の報告例があったため、その方法に従ったが、既報値より収率が低く、必要量の合成に時間がかかった。前駆体から目的分子への反応も難易度が高く、現在、反応条件を最適化している。また、汎用の有機半導体材料であるペンタセンやトルキセンにB-N共有結合を導入することに挑戦している。BN-NDIの場合と同様に前駆体の合成例にしたがい、市販薬品からの合成実験を進めている。BN-ペンタセンの場合、無置換体だと最終段階の反応の後、溶解性の問題が生じたため、可溶性置換基を導入したBN-ペンタセンを最初から合成している段階である。BN-トルキセンは副生物の分離が難しい場合があったため、合成経路を再検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一番重要なBN-NDIの合成経路がほぼ確立されたため。
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今後の研究の推進方策 |
BN-NDIと既存の電子受容性モノマーを共重合して一連のn型半導体高分子を合成し、半導体物性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
テスト反応や反応条件の最適化に時間がかかったため、目的化合物の大量合成を開始するに至らず次年度使用額が生じた。今年度の計画と組合わせて支出する計画である。
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