研究課題/領域番号 |
23KF0229
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
南保 正和 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (10705528)
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研究分担者 |
DE JESUS JOSEPH FELIX 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-11-15 – 2026-03-31
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キーワード | ナノクラスター / 金 / N-ヘテロサイクリックカルベン / 白金 |
研究実績の概要 |
これまでに当研究グループではN-ヘテロサイクリックカルベン(NHC)を用いた多様な金ナノクラスターの合成に成功している。例えば、NHCの構造の変化に応じて、金原子数が10、13、25個と異なる金ナノクラスターが形成することを見出している。これらの知見をもとに、本研究では新たに異種の金属元素を含む複核金属ナノクラスターの創製と触媒への応用を目的とする。本年度はまず金と他の金属錯体を用いた複核金属ナノクラスターの合成に取り組んだ。金NHC錯体と様々な10族の金属錯体が存在する条件にて、NaBH4を用いて還元を行ったところ、白金を含むナノクラスターが形成していることが分かった。質量分析(ESI-MS)測定により、ナノクラスターは金原子が8つ、白金原子が1つ、NHC配位子8つ有するものが主生成物であり、金原子のみからなるナノクラスターは形成していないことが分かった。様々な白金錯体を用いて検討を行ったところ、0価錯体であるPt2(dba)3が最も高い収率となった。得られた金-白金-NHCナノクラスターについては単結晶X線構造解析にて詳細な構造を確認することにも成功し、白金原子を中心に8つの金原子が取り囲んだ稀有な構造をしていることが分かった。この構造は1H, 13C, 19F-NMR測定の結果とも矛盾しない結果であった。またESI-MSによる反応追跡実験によってAu-ヒドリド種の形成を確認でき、形成機構に関する情報が得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来の研究提案の通りに金-白金ナノクラスターの合成を達成した。またNHC配位子が与えるナノクラスターの安定性や電気化学特性についても明らかになりつつあり、次年度に向けた触媒への応用への基盤を構築することができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はNHC配位子の構造を変化させることで、金-白金の比が異なるナノクラスターの選択合成を行う。また白金以外の異なる金属種との安定なナノクラスターの合成にも挑戦する。さらに得られたナノクラスターを用いた有機合成や電解反応における触媒としての機能開拓を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
共に研究を進めていた海外からの研究員が帰国し、研究の進展が遅れたため。今年度には研究員を雇用予定であり、研究遂行に支障はないと考えている。
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