研究課題
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、運動ニューロンが障害を受け全身の筋肉を動かすことができなくなる病であり、発症から3.5年程度で死に至る。病因に不明点が多く根治薬はない。それでも、エダラボンが病気の進行を抑える薬として認可された。この薬は活性酸素を除去することにより効果を発揮すると考えられている。また、チロシンキナーゼc-AblもALSに関わることが示された。本研究の目的は、ALSの次世代治療薬としてエダラボンとc-Abl阻害化合物のハイブリッド分子を創製することである。Severは令和5年度の10月初旬に来日し、各種ハイブリッド分子の合成を開始した。これまでに、市販のc-Abl阻害剤であるボスチニブとダサチニブ、またオレアノリン酸(我々の以前の研究よりAbl阻害活性をもつことが予想される、Ciftci et al., Molecules 24: 3535, 2019)をそれぞれエダラボンと融合した分子を既に合成した。今後、別のハイブリッド分子も合成して、活性を評価したいと考えている。
3: やや遅れている
市販のc-Abl阻害剤であるボスチニブとダサチニブ、またオレアノリン酸をそれぞれエダラボンと融合した3つの分子の合成を完了したところである。また、Severが母国で既に合成したc-Abl阻害活性をもつヘテロ環化合物2cと2jの、それぞれのエダラボンとのハイブリッド分子を現在合成中である。令和5年度中に全ての合成を完了する予定であったため、やや研究が遅れていると判断できる。
令和6年度には連結の位置を変えたり、各種リンカーを導入したものも含め、さらに様々なハイブリッド分子を合成したい。これは年度の前半には終了する予定である。その次に、化合物の活性評価を行う。抗c-Abl活性はキナーゼアッセイキットを用いて試験管内で調べ、さらに細胞内での活性もウエスタンブロットなどにより評価する。活性酸素除去活性評価は、細胞内の活性酸素量の検出キットによる測定にて行う。令和7年度には高活性を示したハイブリッド分子の体内動態を、SwissADMEを用いて推定する。良好な動態を示した分子を2つほど選び、動物実験用に大量合成を行う。その後に共同研究者のサポートによりモデルマウス実験を行いたい。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 備考 (1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 25 ページ: 3659
10.3390/ijms25073659
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Biomedicines
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https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/bunsigouseiHP/