研究実績の概要 |
本研究では、Assisted migrationを念頭に、気候変動に適応する森林を構築するために必要な知識や技術の獲得と提供を目指している。 Lakehead大学、チンライ・ダング博士(Dr. Qing-Lai Dang)との共同研究として実施しており、本年度7月よりカナダ、サンダーベイにてグリーンハウス実験を行った。本研究では苗木を使用した実験Iと収集した挿し木を使用した実験IIを実施した。二酸化炭素濃度([CO2])と土壌中の水分状態が木部構造に与える影響を解明するため、三種のPopulus balsamiferaエコタイプ(実験I :Thunder Bay(TB)(48.38°N, 89.25°W)、Peace River(PR)(56.13°N, 117.26°W)、Zama City(ZM)(59.15°N, 118.7°W)、実験II:TB、PR、Hay River(HR)(60.50°N, 115.46°W)を2つの[CO2](400と1000ppm)および2つの水分条件(飽和と水ストレス状態)で5ヶ月間育成した。生理学と形態的応答のデータ収集、解剖学的応答の測定用木部サンプル収集は完了している(実験IIは、TBエコタイプの挿し木が開葉しなかったため、PRとHRエコタイプのみ)。 更に、Lakehead 大学のアシュリー・トムソン博士(Dr. Ashley Thomson)との共同研究として、大学が所有するCommon Garden 実験林にて、異なるPinus banksianaの遺伝子型間の形成層フェノロジーの反応の調査のため、実験区からコアサンプルを収集した。この研究では、6つの遺伝子型を選択し評価の対象としている。サンプル採取は秋期と春期に行う。令和5年度には、秋期9月から10月にかけてのコアサンプリングが終了している。
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