研究実績の概要 |
2023年度は、局在表面プラズモン共鳴を示す金属窒化物ナノ粒子をプラズモン吸収源とし、酸化物と組み合わせたコア-シェル型粒子の作製に取り組んだ。ZrNナノ粒子をプラズモン吸収源として用い、SiO2-ZrN core-shell粒子、および、ZrN-SiO2 core-shell粒子を作製することに成功した。 作製したSiO2-ZrN core-shell粒子はプラズモン吸収を示すことを確認した。SiO2-ZrN core-shell粒子積層膜は、コアとして用いたSiO2粒子の粒径増加に伴い反射スペクトルにおける極大波長が長波長側にシフトすることを確認した。さらに、反射スペクトルにおける極大波長がShellとして用いているZrNナノ粒子の吸収波長である700 nmに近づくほど、反射率が低下することが分かった。このことから、SiO2-ZrN core-shell粒子積層膜は、構成する粒子の積層構造に基づく構造色と、プラズモン吸収による吸収が組み合わされた「混色効果」を発現する材料となることが分かった[Shinji Noguchi, et al., Advanced Optical Materials, 2024, 2400287.]。 ZrN-SiO2 core-shell粒子は、ZrNナノ粒子の周囲にSiO2を成長させることにより作製した。反応時間によってShell厚さが調整可能であり、比較的粒径の揃った真球状のZrN-SiO2 core-shell粒子が得られることが分かった。また、ZrN粒子周囲がSiO2にコートされた場合であっても、SiO2 Shellの厚さが250 nm程までの場合、ZrN-SiO2 core-shell粒子は局在表面プラズモン共鳴による波長吸収を示すことが分かった[Shinji Noguchi, et al., under revision.]。
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