研究課題/領域番号 |
23KJ0032
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川口 貴大 北海道大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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キーワード | エネルギー貯蔵 / 蓄熱 / 潜熱蓄熱 / 相変化物質 |
研究実績の概要 |
本研究では、超高温潜熱蓄熱蓄熱システムのための蓄熱材料の開発や、蓄熱材料の導入が有望な蓄熱発電や産業の電化など電気熱変換システムへのより効果的な導入方法を検討する。 今年度は特に、電気熱変換システムへの蓄熱材料の導入方法を検討した。電気熱変換システム、特に蓄熱発電システムは、電気熱変換(ヒーター)部、蓄熱部、熱交換器、タービンから主に構成される。しかし、本システムはモジュール間の複数回の伝熱を含み、伝熱に伴うエネルギー損失が課題となる。そこで、蓄熱とヒーターの両機能を有する新規デバイスの開発により、電気熱変換部や蓄熱部を統一したよりシンプルな高効率蓄熱発電システムを設計できる可能性がある。申請者はこれまでに、高温域で潜熱蓄熱材料として合金を利用するために、合金が溶融した際の高い腐食性を解決した、Zn-Al合金をコア、酸化物被膜をシェルとした潜熱蓄熱マイクロカプセルを開発した。これまでの検討で、マイクロカプセルの表面は半導体的な電気的性質を有するZnOであることが判明している。このマイクロカプセルを原料として、直径1cmかつ高さ2cmの蓄熱デバイスを開発した。蓄熱デバイスに通電したところ、内部に含まれるZn-Al合金の融点以上まで蓄熱デバイスの昇温が確認された。さらに蓄熱デバイスの冷却時に、合金の潜熱に由来する温度の停滞が確認された。以上より、潜熱蓄熱と電気熱変換を両立した新規蓄熱デバイスの作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蓄熱材料を導入する候補となる電気熱変換システムのための新規デバイスを提案できたため。
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今後の研究の推進方策 |
超高温潜熱蓄熱材料の設計のために、適切なSi系合金の探索、熱的物性の調査、想定される構造材料との腐食性の調査を実施する。また、電気熱変換を含まないシステムへの超高温潜熱蓄熱材料の導入方法も併せて検討する必要がある。 また、今年度開発した電気熱変換と潜熱蓄熱を両立した新規デバイスの性能の向上も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費で格安の航空券を使用したため次年度使用額が発生した。次年度使用額および助成金は既に参加を予定している国際学会の旅費に充てる他、実験に使用する耐熱材料の購入にも使用予定である。
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